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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 抗がん剤耐性克服におけるCRISPR遺伝子編集技術の臨床応用を追求する中で、ChristianaCare Gene Editing Instituteの研究者達は、細胞ストレスと解毒のマスターレギュレーターである転写因子NRF2の腫瘍細胞におけるレベルが、しばしば、がんの標準治療の有効性を明確に決定する因子となることに注目し、NRF2 遺伝子の破壊に焦点をあてた研究を続けてきた。今回、NRF2ノックアウトの効果を解明した過去の研究を基に、腫瘍特異的CRISPR遺伝子編集を用いた治療法の構築に着手した
 NRF2の過剰活性は、肝臓がん、食道がん、頭頸部がんなど、いくつかの固形腫瘍における化学療法抵抗性において主要な役割を果たしていることが知られているが、研究チームは、非小細胞肺がん(NSCLC)の中でも急速に増殖する肺扁平上皮がんに焦点を当て、NRF2のNeh2ドメインに発生する腫瘍特異的変異であるR34Gを、標的として選択した。この変異は、KEAP1を介した分解を阻害し、NRF2-KEAP1経路に影響を及ぼすことが示されている。
 研究チームは、CRISPR/Cas9を用いてNRF2 R34Gバリアントを帯びた肺がん細胞を作製し、その後NRF2 遺伝子をノックアウトし、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、表現型プロファイルの変化を追究した。その結果、NRF2ノックアウトにより、カルボプラチンやパクリタキセルなどの広く使用されている化学療法薬に対する細胞の反応性が回復した。
 CRISPRシステムをLNPで送達した動物モデルでも、NRF2をCRISPR/Cas9 KOした腫瘍の増殖が遅くなり、化学療法への感受性が高まった。オフターゲット編集はミニマムであった。注目すべきことに、これらの効果は、編集効率が20%~40%程度でも発揮された。腫瘍細胞の、増殖が遅くなり、化学療法への反応がより効果的になることが、確認された。
 今回は、肺扁平上皮がんが検証対象とされたが、NRF2の特性から、NRF2のCRISPR/Cas9 KOは、他の薬剤耐性がん種にも有効と考えられる。
[出典] 
論文 "Functional characterization of tumor-specific CRISPR-directed gene editing as a combinatorial therapy for the treatment of solid tumors" Banas KH [..] Kmiec EB. Mol Ther Oncol. 2025-11-01. https://doi.org/10.1016/j.omton.2025.201079 [所属] Gene Editing Institute/ChristianaCare Health System (米国);グラフィカルアブストラクト
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