[注] G4 (G-quadruplex / グアニン四重鎖);i-Motif (グアニンに富む領域で形成されるG4に類似した、シトシンに富む4本鎖四重鎖DNA構造であり非B型DNAの一つ)
G4およびi-モチーフ(i-Motif: iM)を標的とする選択的リガンドの開発により、これらの構造が転写制御に重要であることが明らかになった。しかし、これらのリガンドのほとんどはゲノム中の個々のG4またはiMを標的できないことから、その適用範囲が限られている。
英国ICLに籍を置く研究者達を主とする英・米・ベルギー・イタリアの研究チームは、既存のG4およびiMリガンドを触媒的に不活性なCas9タンパク質(dCas9)に化学的に結合させることで、生細胞内での個々の標的化を可能にするATENA(Approach to Target Exact Nucleic Acid alternative structures)を提示した。
英国ICLに籍を置く研究者達を主とする英・米・ベルギー・イタリアの研究チームは、既存のG4およびiMリガンドを触媒的に不活性なCas9タンパク質(dCas9)に化学的に結合させることで、生細胞内での個々の標的化を可能にするATENA(Approach to Target Exact Nucleic Acid alternative structures)を提示した。
ATENAは、癌遺伝子c-MYC に存在するG4を選択的に標的とすることで、そのプロモーターの1つ(P1)によってのみ制御される転写産物の抑制につながることを実証した。一方で、その相補鎖上のc-MYC iMを標的とすると、P1誘導性転写産物の選択的増加が誘導された。
このように、ATENAは、G4を介した転写応答はリガンド特異的であり、異なるリガンドが同じG4部位で著しく異なる効果を引き起こすことが示された。さらに、標的遺伝子の基底発現レベルを用いて、G4安定化に関連する転写への影響を予測可能なことも確認された。
ATENAは、G4およびiM生物学を高精度に研究するためのプラットフォームであり、選択的に個々のDNA構造の治療的意義を解明するツールとして有用である。
[出典] "Chemically modified CRISPR-Cas9 enables targeting of individual G-quadruplex and i-motif structures, revealing ligand-dependent transcriptional perturbation" Nuccio SP, Cadoni E, Nikoloudaki R, Galli S, Ler AJ, Sanchez-Cabanillas C, Maher TE, Fan E, Guneri D, Flint G, Zhu M, Liu LS, Fullenkamp CR, Waller Z, Magnani L, Schneekloth JS Jr, Di Antonio M. Nat Commun. 2025-12-09. https://doi.org/10.1038/s41467-025-67074-z [所属] Imperial College London (英国), The Institute of Cancer Research, UCL School of Pharmacy, The Francis Crick Institute, National Cancer Institute/NIH (米国), UGent Campus Sterre (ベルギー), Università degli Studi di Milano (イタリア)
コメント