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2026-01-28 当該論文がNature Biotechnology 誌にてハイライトされた:抗寄生虫エフェクターと遺伝子ドライブの機能を2つの系統に分離させた遺伝子ドライブ技術が現実世界で直接適用可能なことが示され、また、マラリア撲滅技術の実装を推進するために、現地の研究インフラと専門知識を構築することが重要なことが示された。
[出典] "Gene drives tested against real-world malaria diversity" Marchal I. Nat Biotechnol. 2026-01-16.
https://doi.org/10.1038/s41587-025-02992-3
2025-12-18 Nature 誌刊行論文に準拠した初稿
 遺伝子ドライブ技術は、野生蚊の個体群に遺伝子改変を導入することで媒介能力を低下させることで、マラリア対策に革新的なアプローチをもたらした [# 1, 2, 3]。英国ICLの研究チームは先行研究で、2種類の外因性抗菌ペプチドを発現するようにガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)を改変すると、実験室で培養された熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の胞子形成が阻害されることを実証し、遺伝子ドライブと統合すればアフリカにおけるマラリア撲滅に大きく貢献すると予測するモデルを示した [#2]
 しかし、遺伝的に多様な、自然に循環する寄生虫分離株に対するこの改変の有効性は不明であった。この重大なギャップを埋めるため、ICLを主とする英国の研究者達にタンザニアの研究者達が加わった研究チームは、タンザニアに研究開発のインフラストラクチャ [論文Fig. 1 参照] を確立した上で、封じ込め下での現地のガンビエハマダラカの改変を実現することで、先の技術をアフリカの状況に適合させた。
 すなわち、抗菌ペプチドを発現する在来のハマダラカを遺伝子操作してMM-CPカセット [#2] を導入し、自然感染した小児由来の遺伝的に多様なP. falciparum 分離株の増殖を強力に抑制することに成功した。この遺伝子組み換え株を、現地で遺伝子操作された別の株由来のCas9エンドヌクレアーゼを添加することで、効率的な遺伝を伴う非自律的な遺伝子ドライブが成立し、この"MM-CP Ifakara"蚊が、アフリカにおけるマラリア根絶に向けた実地応用に向けたツールになることが示された。
[#] 関連crisp_bio記事
[出典] "Gene-drive-capable mosquitoes suppress patient-derived malaria in Tanzania" Habtewold T, Lwetoijera DW [..] Windbichler N, Christophides GK. Nature. 2025-12-10. https://doi.org/10.1038/s41586-025-09685-6 [所属] Imperial College London (英国), Environmental Health and Ecological Sciences/Ifakara Health Institute (タンザニア), National Institute for Medical Research, Swiss Tropical and Public Health Institute (スイス), University of Basel
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