ロドプシン遺伝子(RHO)の変異に関連する網膜色素変性症(RP)は、失明の重要な原因である。ブリティッシュコロンビア大学の研究チームは今回、RPに関連するc.1030C>T(p.Q344X)RHO 変異のアデニン塩基エディター(ABE)による修復を試みた。
蛍光レポーター細胞系を用いて、塩基編集因子、sgRNA、および導入方法を検討することで、編集を最適化した。フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング、免疫蛍光顕微鏡検査により、編集後の全長ロドプシンの修復を確認した。 DNA配列解析により、標的ヌクレオチドでの編集と、編集ウィンドウ内でのバイスタンダー編集の欠如が検証された。
アデニン塩基エディターのNG-ABE8eと、編集ウィンドウの6番目の位置に標的アデニンを配置するA6ガイドRNAを含むプラスミドを、ポリエチレンイミン (PEI) カチオンポリマーを介して細胞に導入したところ、フローサイトメトリーによる測定で、DNA配列修正率 31.0%と、ロドプシンタンパク質修正率 26.3%が達成された。これに対して、精製されたNG-ABE8eタンパク質をA6-sgRNAと複合させたところ、32.2%のDNA編集と44.5%のロドプシン修正が達成された。さらに、脂質ナノ粒子に共カプセル化されたプラスミドNG-ABE8eとA6-sgRNAをレポーター細胞系に導入したところ、最高の編集(42.6%のgDNA編集と65.9%のロドプシン修正)が得られた。
これらの結果は、ABEによるc.1030C>T RHO 変異の修正、ひいては、ABEによるRP治療の可能性を示した。
[出典] "Lipid nanoparticle mediated base editing of the Q344X rhodopsin mutation associated with retinitis pigmentosa" Palmgren VAC [..] Monday RS. Gene Ther 2025-12-10. https://doi.org/10.1038/s41434-025-00584-z [所属] University of British Columbia (カナダ);グラフィカルアブストラクト
コメント