色彩パターン形成は、進化・発生メカニズムを研究するための重要なモデルであり、翅に黒い水玉模様(polka dot)を帯びているミズタマショウジョウバエ(Drosophila guttifera)はこれまで、色彩パターン形成を解明するためのモデル [*] として利用されてきた。酪農学園大, 北大, 京大の研究チームは今回、D. guttiferaにおいて、2つの推定メラニン合成遺伝子(yellowとtan)にCRISPR/Cas9 GEによる摂動を加えた複数の変異体を樹立し、摂動が 翅の色彩パターン形成に及ぼす影響を解析した。
- yellowとtan のいずれかが変異すると色素沈着強度が低減し、両遺伝子が正常な色素沈着に必要なことが明らかになった。一方で、双方をノックアウトしても、スポットの配置には影響しなかった。
- yellowとtan の二重重変異体の色素沈着は、一重変異体からさらに低減したことから、両遺伝子は、色素沈着に部分的には互いに独立に寄与し、相加的に機能していることが示唆された。
- パターンを制御する主要な遺伝子wingless を異所性発現させても、変異体は正常な色素沈着を誘発できなかったことから、両遺伝子は wingless の下流で機能することが明らかになった。
- tan 変異体における色素沈着低減はモザイクになったことから、D. guttiferaの翅における色素沈着は、翅脈を介した輸送のみではなく、前駆物質の局所的な利用可能性に依存していることが示唆された。
[*] "Drosophila guttifera as a Model System for Unraveling Color Pattern Formation" Koshikawa S, Fukutomi Y, Matsumoto K. In: Sekimura, T., Nijhout, H. (eds) Diversity and Evolution of Butterfly Wing Patterns. Springer, Singapore. 2017-08-30.
[出典] "Functions of melanin synthesis genes, yellow and tan, in wing pigmentation revealed by CRISPR/Cas9-mediated mutagenesis in Drosophila guttifera" Matsumoto K, Yamamoto W, Fukutomi Y, Koshikawa S. Insect Mol Biol. 2025-12-22. https://doi.org/10.1111/imb.70024 [所属] 酪農学園大学, 京都大学, 北海道大学
[関連報告書] 「ゲノム編集で明らかにするショウジョウバエの模様形成機構」越川滋行. 2022年度 研究成果報告書. 科学研究費助成事業データベース 2024-01-30公開.
[関連報告書] 「ゲノム編集で明らかにするショウジョウバエの模様形成機構」越川滋行. 2022年度 研究成果報告書. 科学研究費助成事業データベース 2024-01-30公開.
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