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 アデニン塩基編集因子(ABE)は、二本鎖切断を引き起こすことなく、ゲノム標的部位において正確なA-to-G変換を実現する。しかし、David R. Liuらが指向性進化法で導出した高活性型アデノシンデアミナーゼTadA8eは、ゲノムワイドなオフターゲット編集に対する安全性への懸念を引き起こしている。
 南京農業大学を主とする中国の研究チームは今回、高活性型TadA8eをCas9ニッカーゼの内部に埋め込むとで、TadA8eに起因しsgRNAには依存しないオフターゲット効果を抑制可能なことを発見し、11種類のABE用キメラタンパク質(Chimeric Proteins ABE: CP-ABE)を作出した。そのうち4種類のCP-ABEは、sgRNA非依存性のオフターゲット編集を最小限に抑えながら、強力なオンターゲット活性を示した。
 次に、高忠実度Cas9バリアントを用いることで、sgRNA依存性およびsgRNA非依存性のオフターゲット効果を最小限に抑える4つのキメラ高忠実度ABE(Chimeric High-Fidelity ABE: CH-ABE)を作出した。一連の高忠実度Cas9バリアント(SniperCas9, eSpCas9 (1.1), eSpCas9 (1.0), HypaCas9, SpCas9-HF1, SpCas9-HF2, SpCas9-HF3, SpCas9-HF4, evoCas9, およびSuperFi-Cas9)をイネゲノム編集にて評価し、CH-ABEのベースとしてSniperCas9 とeSpCas9 (1.1)を選択した。
 CH-ABEは、2種類の標的遺伝子の編集において、オフターゲット編集をそれぞれ最大50分の1と79.4分の1にまで低減し、また、効率22.0%~72.4%でのホモ接合型および両対立遺伝子型のイネ変異体生成を可能にした。CH-ABEの精度が高いことは、全ゲノムおよび全トランスクリプトームシーケンス(WGS/WTS)でも確認された。
 さらに、高活性かつ高忠実度のCas9バリアンとであるSniper2LをCH-ABEのベースとすることで、特異性とオンターゲット活性がさらに向上した。
 また、SpCas9のほぼPAMフリーなSpRYバリアント(SpRY-K2、SpRY-KK)をベースとすることで、CP-ABEの標的範囲を拡大し、活性を80.0%向上させることにも成功した。その上で、CP-ABE8e-RYKKによってイネの相同な標的を識別可能になり、OsALS-K591E変異を正確に導入することで、除草剤耐性イネを作出するに至った。
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[出典] "Cas9-­Embedding Hyperactive TadA8e Confers Efficient and Highly Specific A-­ To-­ G Base Editing in Rice" Hu J, Li X, Guo Y [..] Wan J. Plant Biotechnol J 2025-12-23. https://doi.org/10.1111/pbi.70511 [所属] Nanjing Agricultural University, Zhongshan Biological Breeding Laboratory, Institute of Crop Science CAS.
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