[注] scPT-seq: Single-Cell Perturbation and Transcriptome sequencing
CRISPRスクリーニングとscRNA-seqを組み合わせることで、ハイスループットな機能ゲノミクスが加速されてきた。しかしながら依然として、編集された細胞の同定と遺伝学的特性評価は課題であり、生体内への展開は、生体内環境の影響もあり、限定的である。ドイツの研究チームは今回、CRISPRシステムで加えた摂動に誘導された変異を塩基対解像度で解析し、生体内で同じ単一細胞における転写応答を捉える単一細胞RNAアッセイであるscPT-seqを、bioRxivに投稿した。
- ドロップレットベースのscRNA-seq
- 編集された遺伝子座のターゲットロングリードシーケンス
- ハプロタイプを解析した変異コール
- 複雑な編集結果の評価を可能にするin silicoスイート
scPT-seqからの出力として以下が確認された:
- CRISPR編集の塩基対分解能
- 挿入、欠失、スプライスジャンクション変異の検出
- 野生型、モノアレル、バイアレル編集の明確な識別
- これまでの手法の大きな盲点であった「欠落」アレルの同定
再生能力が高く高度な空間構造をしているショウジョウバエの腸管を対象とする実証実験において、同一組織内での野生型細胞と変異細胞を識別し、細胞自律的な影響と環境の影響を判別し、変異に対する空間的に組織化された補償機構を明らかにするに至った [Figure 1 b/c/i 引用右図参照]。- scPT-seqによって、同一組織内の野生型細胞の特性を参照可能になり、これまでの手法では検出されてこなかった変異特異的な転写プログラムを明らかになった。
- scPT-seqによって、用量依存的な解析も可能になった。細胞型によって、一対立遺伝子変異と二対立遺伝子変異に対する反応が異なるため、組織全体にわたって空間的に組織化された補償機構が明らかになった。
- scPT-seqによって、CRISPR編集結果を遺伝性クローンマーカーとして利用可能になった。
これによって細胞系譜系統を構築し、細胞間で空間情報を伝達し、領域特異的な幹細胞のアイデンティティと摂動応答が明らかになった [Figure 4引用右図参照]。
scPT-seqは、生体内で遺伝子型、発現、細胞系譜、および空間を直接結び付けることを可能にし、間接的なCRISPRリードアウトを超えた機能ゲノミクスを実現するフレームワークでである。
[出典] "Direct detection of CRISPR mutations and transcriptional responses at single cell resolution in vivo" Hawkins JA, Redhead S [..] Boutros M, Stegle O. bioRxiv. 2025-12-24 (preprint). https://doi.org/10.64898/2025.12.23.696319 [所属] EMBL (ドイツ), German Cancer Research Center, Heidelberg University¥

コメント