シュードアルテロモナス属(Pseudoalteromona)は寒冷適応研究のモデル系として用いられており、バイオテクノロジーおよび生態学において幅広い関心を集めている。しかしながら、シュードアルテロモナスにおける既存の遺伝子操作法は従来の相同組換え法に依存していたが、その効率は極めて低い(0.1%未満)ことから、新たな機能ゲノミクスのツールが求められていた。中国极地研究中心に籍を置く研究者達は今回、極寒の極海に生息する代表的な種であるPseudoalteromonas fuliginea を対象に、CRISPR/Cas9 GEが有効であることを実証した。
P. fuligineaにおけるCRISPR/Casシステムの実現可能性を検証するため、複数の遺伝子を標的として選択し、表現型の変化または遺伝子発現を通して遺伝子編集効果を確認した。精密な遺伝子ノックアウト(運動性遺伝子fliJ 、インジゴイジン生合成遺伝子indA)、挿入(csrA ::3×FLAGとtse2::gfp)、およびcsrAやスモールノンコーディングRNA(Pf1–Pf3)の改変に成功し、CRISPR/Cas9 GEの平均効率はcsrAを除いて、70%を超えた。
総じて、CRISPR/Cas9 GEは、P. fuliginea に強力かつ柔軟な遺伝学的ツールキットを提供し、P. fuliginea の寒冷適応、制御ネットワーク、宿主-微生物相互作用を研究するためのモデル生物としての可能性を大きく高め、極地海洋細菌を用いた海洋バイオテクノロジーおよび合成生物学における将来の発展を支えることになるだろう。
[出典] "Development of a CRISPR/Cas9-induced gene editing system for Pseudoalteromona fuliginea and its applications in functional genomics" Duan Z, Yang R, Lai T, Jiang W, Zhang J, Chen B, Liao L. (bioRxiv 2025-06-01). Apple Environ Microbiol. 2025-10-29/Nov. https://doi.org/10.1128/aem.01771-25 [所属] Polar Research Institute of China (中国), Shanghai Jiao Tong University, University of Shanghai for Science and Technology, Key Laboratory of Polar Ecosystem and Climate Change, Shanghai Key Laboratory of Polar Life and Environment Sciences.
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