2026-01-24 ChristianaCare Gene Editing Instituteのスピンアウト企業であり、MTO 誌刊行論文の研究資金の一部を提供した CorriXR 社が、「CRISPR-Cas9を介したNRF2阻害が頭頸部癌および食道扁平上皮癌モデルにおいて化学療法感受性を回復させることを示す新たな前臨床データ」をプレス発表した。CorriXR社は、頭頸部扁平上皮癌を対象としたInvestigational New Drug(IND)申請の計画を発表しており、これは同社のNRF2標的プラットフォームの初の臨床応用にあたる [CorriXR Therapeutics. businesswire 2026-01-22]。
2026-01-09 Molecular Therapy Oncology(MTO)誌刊行論文に準拠した初稿
頭頸部癌(HNC)は、診断件数で7番目に多い癌であり、2030年までに年間30%の増加が予測されている。NHCの治療にはこれまで、化学療法、放射線療法、免疫療法、ならびに手術を併用する療法が採られてきたが、時間の経過とともに治療抵抗性が生じ、治療効果が低下していた。固形腫瘍における薬剤耐性を回避する効果的な方法は、現在、癌細胞に対する複合毒性の上昇を招く可能性のある別の治療レジメンを処方するか、同じ治療法の投与量を増やす以外には,ほとんどない。したがって、薬剤耐性に対処し、予後を改善するために標準治療疾患をより広く適用可能とするツールの開発が急務となっている。その中で、ChristianaCare Gene Editing Instituteでは、固形腫瘍において薬剤耐性に関与する遺伝子の不活性化を目指して、CRISPR/Cas9 GEに基づく治療プラットフォームを開発してきた [#1 - 6]。
頭頸部癌(HNC)は、診断件数で7番目に多い癌であり、2030年までに年間30%の増加が予測されている。NHCの治療にはこれまで、化学療法、放射線療法、免疫療法、ならびに手術を併用する療法が採られてきたが、時間の経過とともに治療抵抗性が生じ、治療効果が低下していた。固形腫瘍における薬剤耐性を回避する効果的な方法は、現在、癌細胞に対する複合毒性の上昇を招く可能性のある別の治療レジメンを処方するか、同じ治療法の投与量を増やす以外には,ほとんどない。したがって、薬剤耐性に対処し、予後を改善するために標準治療疾患をより広く適用可能とするツールの開発が急務となっている。その中で、ChristianaCare Gene Editing Instituteでは、固形腫瘍において薬剤耐性に関与する遺伝子の不活性化を目指して、CRISPR/Cas9 GEに基づく治療プラットフォームを開発してきた [#1 - 6]。
CRISPR/Cas9 GEの標的は、頭部、頸部、食道、肺の扁平上皮癌における癌治療抵抗性に関与するマスター転写制御因子であるNRF2(NFE2L2)遺伝子を選択した。NRF2は、多くの癌治療に対する耐性につながる経路のかなり上流に位置し、腫瘍形成中に著しくアップレギュレーションされることが知られている。また、異種移植マウスモデルを用いた研究において、CRISPR/Casと低用量化学療法の併用療法により、癌細胞の増殖が著しく低減し、生存率が向上することが示されている [#1, 6]。
研究チームは今回、NRF2の特定のエンドポイントを無効化することで、頭頸部癌および食道癌の化学療法感受性を回復させることを目指して、NRF2 遺伝子のエクソン2とエクソン4にCRISPR/Cas9 GEを適用し、遺伝子破壊から機能改変までの結果を追跡した。 [以下、グラフィカルアブストラクト引用右図参照]
CRISPR/Cas9によって生成されるインデルのレベルは70%を超えることから、エクソン2およびエクソン4が遺伝子破壊の適切な標的であることが確認された。- しかし、エクソン2を標的とすることでNRF2 遺伝子破壊が80〜90%に及んだにもかかわらず、NFF2タンパク質の減少幅は30%に留まり、ひいては、化学療法(シスプラチンおよび5-FU)に対する感受性の回復はせいぜい中程度であった。
- 対照的に、エクソン4の破壊は、NRF2タンパク質の大幅なノックダウンを伴い、顕著な遺伝子破壊と望ましい機能的結果の双方をもたらした。すなわち、低用量で化学療法感受性が大幅に増加した。
- エクソン2bは、タンパク質KEAP1との結合を可能にするNeh2ドメインをコードし、その喪失がKEAP1との結合を阻害し、NRF2の分解プロセスを阻害し、ひいては、NRF2タンパク質レベルが維持されたと考えられる。
- 対照的に、エクソン4は、転写因子としてのNRF2のより重要な機能であるトランス活性化に関与するタンパク質ドメインをコードしていることから、NRF2の遺伝子破壊がNRF2タンパク質の機能的喪失をもたらしたと考えられた。
- また、エクソン2におけるCRISPR/Cas9 GEにより誘導されるエクソン・スキッピングのレベルが、エクソン4より高いことが同定され、エクソン・スキッピングの機構を介してもエクソン2とエクソン4を標的とした場合の化学療法感受性の違いが生じることも示唆された。
- 食道癌細胞株(KYSE-410)でも頭頸部癌細胞株( FaDu)と同様な結果が得られた。
総じて、CRISPR/Cas9 GEを併用することで癌細胞の化学療法に対する感受性を回復することが可能であるが、臨床応用に向けては、標的部位の選択やエクソンスキッピングの影響を検証する必要があることが示された。
[出典] "Target choice and exon skipping regulate CRISPR-directed gene editing of NRF2 in head/neck and esophageal cancer cells" Rivera-Torres N [..] Kmiec EB. Mol Ther Oncol. 2026-01-03. https://doi.org/10.1016/j.omton.2025.201122 [所属] ChristianaCare Gene Editing Institute.
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