[注] セラノスティック:Theranosticsはtherapy とdiagnosticsを融合した造語であり、治療と(画像)診断を一体化する概念・分野を意味し、2011年からジャーナルTheranostics が刊行されている)
放射線療法は前立腺癌の根本的な治療であるが、その治療効果はDNA修復機構やその他の生物学的因子を介した放射線抵抗性によってしばしば制限される。この制限を遺伝子治療によって超えることが期待されているが、効果的な放射線増感標的の特定と効率的な遺伝子送達システムの開発は依然として困難である。
上海交通大学と蘇州大学の研究チームは今回、まずトランスクリプトーム解析を介して、放射線療法を受けた前立腺癌細胞において、これまで体系的に研究されていなかった標的であるDNAポリメラーゼデルタサブユニット4(POLD4)の発現が顕著に上昇していることを発見した。
POLD4を標的とする放射線抵抗性克服のアプローチを評価するため、CRISPR-Cas9ベースのプラスミドと超小型超常磁性酸化鉄ナノ粒子(ultrasmall superparamagnetic iron oxide nanoparticles: USPION)をカチオン性リポソームに封入し、MRIで追跡可能な遺伝子送達プラットフォーム
(Plasmid and Iron Oxide co-loaded LiposomesからPIO@Lipoと命名)を実装した [FIGURE1引用右図上部参照]。
(Plasmid and Iron Oxide co-loaded LiposomesからPIO@Lipoと命名)を実装した [FIGURE1引用右図上部参照]。 包括的なin vitroおよびin vivo研究により、PIO@Lipoが効率的なPOLD4ノックダウンを可能にすることが実証された。さらに、PIO@Lipoは放射線療法との相乗効果により、広範なDNA損傷を誘導し、腫瘍細胞のアポトーシス *を促進し、免疫抑制性微小環境を再調節する (remodulate)。特に、PIO@Lipoは優れたMRI造影増強能と受動的な腫瘍標的化能を示した。
[*] 本文中では一貫してaptopsisと表記されているが、FIGURE 1の中ではnecrosisと表記されている。
こうして、MRIモニタリング下(診断)でのCRISPR- Cas9 RNPを介した遺伝子編集によってDNA損傷修復の恒常性を破壊できるPOLD4を放射線増感の強力な標的として特定し、前立腺癌における放射線療法の有効性を高める(治療)有望な戦略を提供することが示唆されるに至った。
[出典] "CRISPR-Cas9-Loaded Theranostic Liposomes for Enhancing Radiosensitization of Prostate Cancer through POLD4 Gene Editing under Real-Time MRI Monitoring" Fan X [..] Gao M, Wang H. Adv Sci (Weinh). 2026-01-07. https://doi.org/10.1002/advs.202519704 [所属] Shanghai Jiao Tong University School of Medicine (Department of Radiology/ Shanghai General Hospital, Department of Bone and Joint Surgery /Renji Hospital9, Shanghai General Hospital Branch of National Center for Translational Medicine, Jiading Branch of Shanghai General Hospital, Soochow University (State Key Laboratory of Radiation Medicine and Protection, School of Life Sciences)
コメント