crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 スタンフォード大学、ケルン大学などの米・独の研究チームが、CRISPR-Cas9を用いて、小細胞肺癌と胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍におけるTGF-β1を介したキラーT細胞の抑制を克服するため、初代培養ヒトT細胞のTRAC遺伝子座に、CRISPR-Cas9を利用して、B7-H3 CARとともにc-JUNをノックインした結果をCell Reports Medicine 誌刊行論文から報告した。
 小細胞肺癌(small cell lung cancer: SCLC)は致死率の高い疾患であり、主要組織適合性(MHC)クラスI分子のダウンレギュレーションによってT細胞応答が制限される。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞はMHC拘束性ではないため、SCLCに対する強力な戦略となる可能性がある。しかし、SCLCに対するCAR標的はほとんど知られていない。
 研究チームは今回、SCLCおよび臨床病理学的にSCLCに類似する胸部SMARCA4欠損未分化腫瘍(undifferentiated tumors: UT)においてB7-H3/CD276が発現しており、CARの標的足り得るとした。
 エレクトロポレーションを介してc-JUN+B7-H3 CAR (3.6 kb) をCRISPR-Cas9でノックインしたCAR T細胞は、抗原密度の低いSCLC細胞と胸部SMARCA4欠損性UTの両方に対する細胞殺傷効果を向上させ、c-Junこれらの高悪性度疾患への治療基盤を提供することが確認された [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。また、c-JUN+B7-H3 CAR T細胞は、適正製造基準(GMP)に基づいた臨床規模の製造が可能であることを示すエビデンスも得られた。
[出典]
  • "c-JUN enhances CRISPR knockin anti-B7-H3 CAR T cell function in small cell lung cancer and thoracic SMARCA4-deficient undifferentiated tumors" Balke-Want H [..] Feldman SA. Cell Rep Med. 2026-01-20. https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2025.102549 [所属] Stanford University (米国), Stanford University School of Medicine, Parker Institute for Cancer Immunotherapy, University of Cologne (ドイツ)
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット