[注] イデオネラ・サカイエンシス (Ideonella sakaiensi - 大阪府堺 (Sakai)市のリサイクル工場で採取された試料から発見された細菌: 右図参照);プラスチック分解酵素 (PETase - PETが持つエステル結合を、カルボキシ基と水酸基とに加水分解する酵素);CRISPR関連トランスポゾン (CRISPR-associated transposase: CAST) 近年、プラスチックによる環境汚染が深刻化し、安定的かつ持続可能なバイオテクノロジーによる解決策が求められている。カナダのマニトバ大学の研究チームが、Journal of Hazardous Materials 誌刊行論文にて、大腸菌(Escherichia coli )におけるPETase遺伝子のゲノム組み込みにより、誘導剤および抗生物質を含まない安定した全細胞バイオ触媒(whole-cell biocatalyst)を実現し、PET分解微生物工場に向けて大きく前進したことを、報告している。
研究チームは、コレラ菌(Vibrio cholerae )由来のCAST(TnsABC-TniQ complexとヌクレアーゼ活性を欠いているタイプI-F CRISPRシステム)を利用して、PET加水分解遺伝子の上流にある恒常的なLppプロモーターとLppシグナルペプチド配列を含む遺伝子カセットを大腸菌ゲノム内の特定の部位に組み込むことで、PETaseを大腸菌細胞表面に効率的に固定・露出させた。
PETaseの表面局在と活性は、生化学アッセイ、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリーによって確認され、堅牢な表面露出と複数世代にわたる持続的な機能性が確認され、堅牢な全細胞バイオ触媒が実現されるに至った。
PETaseの表面局在と活性は、生化学アッセイ、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリーによって確認され、堅牢な表面露出と複数世代にわたる持続的な機能性が確認され、堅牢な全細胞バイオ触媒が実現されるに至った。
細胞表面に提示された酵素EC-PET1とEC-FP1はそれぞれ、17継代後90%以上の活性、10継代後も約70%の活性、を維持した。PET分解の副産物には、モノ(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(MHET)およびテレフタル酸(TPA)が含まれていることが、HPLCにて同定された。最適化されたEC-FP1提示株は、OD600 =1.0/mLで3日間かけて半結晶性PET粒子から0.18mMのMHETを生成した。
これらの結果は、プラスミドベースのシステムに典型的な遺伝的不安定性や代謝負荷なしに、大規模なプラスチック廃棄物処理のための堅牢かつ持続可能な微生物工場を実現できる可能性を示した。
[出典]
- "Novel genomically engineered antibiotic-free whole-cell biocatalysts for PET hydrolysis and waste remediation" Romero-Orejon K, Karbalaei-Heidari HR, Budisa N, Levin DB. J Hazard Mater. 2026-01-17. https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2026.141170 [所属] University of Manitoba (Biosystems Engineering; Chemistry) (カナダ)
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