Mcl1 遺伝子は癌において高頻度に増幅し、癌の進行と薬剤耐性を誘導する抗アポトーシスタンパク質である骨髄細胞白血病1(Myeloid Cell Leukemia-1: MCL1)をコードしており、癌の治療標的部位となる可能性が報告されている。
今回、南京医科大学附属逸夫医院を主とする中国の研究チームはまず、TCGAデータセットの解析から子宮頸癌においてMcl1 の発現レベルが極めて高く、TNMplot V2 (differential gene expression analysis in Tumor, Normal, and Metastatic tissues) での解析から子宮頸癌におけるMcl1の発現が子宮頸癌以外の癌よりも高いこと、さらに、mRNAの発現レベルも同様なことを確認した。何よりも、子宮頸癌におけるMcl1の発現が高いほど、予後不良であった。
研究チームは、Cas9を始めとする生物活性タンパク質をEVにロードするために、(1)融合タンパク質をロードするための膜貫通ドメイン「Lamp2b」、(2)遊離タンパク質の放出を助ける光分解タンパク質ドメイン「PhoCl」、および(3)細胞へのトランスフェクションとEVのさらなる生産のためのカーゴタンパク質「カーゴ」(GFP、Cre、またはCas9を含む)を含むプラスミドを設計した。 「Lamp2b」はEV内で膜貫通タンパク質として機能し、その結果、「PhoCl-カーゴ」部分がEVへと向けられ、光分解性の「PhoCl」は405 nmの紫色光処理後に切断され、「カーゴ」が人工EV内で遊離する。こうして、今回設計されたプラスミドは、EVの生合成中に目的のタンパク質をEVにロードし、405 nmの紫色光処理後に目的のタンパク質をEV内で放出する。
人工EVは、プラスミド導入後、超遠心分離により細胞培養上清から単離され、Cas9-sgMcl1 RNPを内包した人工EV(EVs<RNP> (Cas9-sgMcl1))のサイズは30 nmから1000 nmの範囲であり、典型的なカップ型構造をとっていた。さらに、このEVs<RNP>は、EVの典型的なマーカーとして知られているCD63、Alix、およびTsg101を安定的に発現し、さらに、Cas9とリソロームの膜タンパク質の一種であるLamp2bを顕著に発現することが確認された。
人工EVは、細胞アポトーシスを誘導することで子宮頸癌細胞の増殖を著しく抑制することが確認された。さらに、人工内因性EVs<RNP>(Cas9-Mcl1)は、Mcl1の発現を抑制することで、子宮頸癌異種移植モデルにおいてin vivoで阻害効果を示した。
[出典]
- "Effective delivery of genome editor to cervical cancer targeting Mcl1 for cancer therapy" Wan Y [..] Zhou G, Ying X, Zhang H. Cancer Gene Ther. 2026-01-27. https://doi.org/10.1038/s41417-025-00958-w [所属] Nanjing Medical University (Department of Gynecology, Sir Run Run Hospital), Second Affiliated Hospital of Nanjing Medical University (Department of Obstetrics and Gynecology), The Obstetrics and Gynecology Hospital of Fudan University (Department of Gynecology);グラフィカルアブストラクト https://media.springernature.com/lw685/springer-static/image/art%3A10.1038%2Fs41417-025-00958-w/MediaObjects/41417_2025_958_Figa_HTML.png?as=webp
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