[注] PubMedを"acupuncture treatment" (鍼治療)の完全一致で検索すると, 1961年から2026年までの出版論文4,030件がヒットし, 2020年代に入って一段と増えたように見える [PubMed検索結果画面から引用した右図参照]。
また"acupuncture treatment" & "neurodegenerative"で検索すると36件 (2007年~2026年)ヒットする [PubMed検索結果画面から引用した右図参照]。 鍼治療は近年、抗炎症作用を呈する神経調節介入法としてますます認識されている。しかし、神経調節の分子機構は、特に神経変性疾患におけるその分子機構は未だ十分に解明されていない。その解明に向けて、香港中文大学の研究チームは今回、CRISPR/Cas12aベースの蛍光免疫センサーを中国伝統鍼灸(classical Chinese acupuncture:CA)鍼に直接統合することで、古来の治療法と現代のバイオセンシングを橋渡しし、パーキンソン病(PD)ラットモデルにおいて、経穴 (ツボ:acupoint) ごと間質性サイトカインのモニタリングを実現した (以下、CA鍼統合型バイオセンサー)。
こCA鍼統合型バイオセンサーは、生理学的に関連する濃度全体にわたって、高い特異性と線形応答でIL-6とTNF-αを選択的に検出する。このバイオセンサーを介した生体内測定により、鍼治療は時空間的に異なる局所的サイトカイン動態と関連していることが明らかになった。早期介入(7日目)では、GV20(Baihui/百会)、GV14(Daizhui / 大椎)、ST36(Zhsanli / 足三里)のIL-6と、ST36のTNF-αが有意に抑制される。遅延介入(21日目)では全身的影響は減少したものの、ST36の局所的抑制は維持された。一方で、GB34 (Yaglinggian / 陽陵泉)におけるサイトカインのレベルの変化はミニマルであった。
さらに、これらのサイトカイン動態が行動と相関し、早期の鍼治療が優れた運動改善をもたらすことが確認された。すなわち、経穴解析によるサイトカイン・プロファイルと運動行動という表現型との間に相関関係があることが示唆された。
こうして、CA鍼統合型バイオセンサーが、鍼治療の抗神経炎症効果を解読するためのツールとして有効であり、鍼治療中の組織サイトカイン動態を探索的かつ空間的に解析する研究のためのプラットフォーム足り得ることが、示された。
- CA鍼をラットの経穴に挿入し、それぞれの場でサイトカインを捉え、抜き去る。
- CA鍼をex vivoで検出抗体-ssDNAコンジュゲートとインキュベートし、洗浄後、CRISPR/Cas12a反応混合物に曝露する。
- コラレテラル活性が活性化されたCas12aが、ssDNAが切断された蛍光レポーターが発光する。
- この蛍光から、BeHealthy Medical Technology社 (深圳) の携帯型蛍光検出器を用いてラッサイトカインを定量する。
[出典]
- "Biosensing Acupuncture Needles Reveal Site-Specific Cytokine Dynamics in Parkinson’s Disease Models" Zou S [..] Liu G. Brain Behav Immun Integr 2026-02-09. https://doi.org/10.1016/j.bbii.2026.100154 [所属] The Chinese University of Hong Kong (Integrated Devices and Intelligent Diagnosis (ID2) Laboratory)

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