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[注] ATM - DNA二本鎖 (dsDNA) 切断によってリクルートされて活性化されるセリン/スレオニンキナーゼ;ATR - ATRは持続的な一本鎖DNA (ssDNA) の存在に応答して活性化されるセリン/スレオニンキナーゼ
 自治医科大学花園 豊教授と原 弘真専任講師を責任著者とするCommunication Biology 誌刊行論文では、二本鎖切断(DSB)誘導、相同組換え修復(ノックイン)、末端結合介在標的挿入(end-joining-mediated targeted insertio:EJ-TI)を同時に追跡することを可能にするトリプルレポーターシステムの開発と、それによる解析から、標題のノックイン効率向上に成功したことが、紹介されている。
 プラスミドベクターとアデノ随伴ウイルス(AAV)ドナーベクターの両方を用いた結果、dsDNAやssDNAといったドナーの種類に関わらず、ATR活性がノックインに必須である一方、ATMの阻害が、ドナーに依存する作用を示すことが確認された。
 環状プラスミドドナーを移植された細胞において、AZD1390によるATM阻害は、DSB修復におけるその標準的な役割と一致して、ノックインおよびEJ-TIの効率を著しく低下させた。対照的に、直鎖状AAVドナーでは、ATM阻害はATM-p53-カスパーゼ3アポトーシス経路の過剰活性化を抑制し、古典的な非相同末端結合を部分的に抑制することで、ノックイン効率を向上さた。
 これらの知見は、ドナーDNAの構成がDNA損傷応答シグナル伝達に及ぼす重要な影響を浮き彫りにし、ATM経路を選択的に調節することでゲノム編集効率を最適化する戦略を提供する。
[出典]
  • "ATM Inhibition Enhances Knock-in Efficiency by Suppressing AAV-Induced Activation of Apoptotic Pathways" Natsagdorj ME, Hara H [..] Hanazono Y. (bioRxiv 2025-09-03) Commun Biol. 2026-02-06. https://doi.org/10.1038/s42003-026-09604-z [所属] 自治医科大学(再生医学研究部; 再生・細胞医薬研究ラボラトリー; 動物資源ラボラトリー; 生化学部門; トランスレーショナルリサーチ部門; 感染症学部門)
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