原腸形成は、胚葉が形成され、細胞運動と運命決定の精密な調整によって体軸が規定される基本的な発生過程である。ドレスデン工科大学の「形態形成の生物物理学的メカニズム」研究のグループリーダであるElias Barriga博士の研究チームは今回、EMBO Reports 誌から表題の成果を紹介した。
Sox8は腹外側中胚葉で発現しており、CRISPR-DiCas7-11 [*]を介したSox8のノックアウトにより、原口(blastopore)閉鎖の異常とAP軸の伸長障害につながることが確認された。トランスクリプトーム解析からは、Sox8がWntシグナル伝達を調節することが確認された。また、これがWnt阻害因子であるkremen2 の転写を直接活性化することにより部分的に制御されていることが示唆され、クロマチン免疫沈降法により、Sox8がkremen2のプロモーターに直接結合していることが確認された。
Sox8またはKremen2のノックダウンが、wnt11b mRNAの異常な腹側伸長をもたらすことになるが、これは核内β-カテニンの増加およびBMPシグナル伝達の低下と整合している。また、これらの処理は、中胚葉の軸方向および沿軸 パターン形成の破壊をもたらした。
こうして、Sox8は腹側領域におけるWnt阻害因子Kremen2の発現を誘導することで胚葉形成に必要であり、このメカニズムを介して、Wnt活性が背側組織に偏り、腹側組織におけるBMPシグナル伝達の腹側化活性を強化することに寄与することが、明らかになった。このSox8/Kremen2制御軸が他の生物学的プロセスにも関与しているか、興味深い。
[*] DiCas7-11関連crisp_bio記事
- 2021-09-10/2022-08-02 CRISPRサブタイプIII-Eの単一タンパク質CRISPRエフェクターCas7-11によるプログラム可能なRNAターゲッティング. https://crisp-bio.blog.jp/archives/27361700.html
- 2025-04-18 タイプIII-E CRISPR-CasエフェクターCas7-11が, 標的RNA結合を経て切断至る間の構造再構成が明らかに. https://crisp-bio.blog.jp/archives/38352241.html;タイプIII E CRISPR -CasシステムとCas7-11に関連するcrisp_bio記事のリンク集あり
[出典]
- "Sox8 is essential for vertebrate gastrulation" Moreira S, Korovesi AG, Barriga EH. EMBO Rep. 2025-11-10/Dec. https://doi.org/10.1038/s44319-025-00617-z [所属] TU Dresden (Mechanisms of Morphogenesis Lab; Mechanisms of Morphogenesis Lab) (ドイツ), Gulbenkian Institute of Science (ポルトガル), Gulbenkian Institute for Molecular Medicine
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