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 高麗大学の Aram J. Chung教授が今回、Nature Communication 誌刊行論文 [*]に続いて、液滴細胞メカノポレーションが、CRISPR GEシステムの送達に、先行論文の一連の細胞株に加えて初代ヒトT細胞にも有効なことを、Small 誌刊行論文で紹介している。
[詳細]
 T細胞工学は、養子細胞療法における革新的な戦略であり、幅広いヒト疾患の治療の鍵を握っているが、現在の細胞内送達方法は、生存率の低下、ストレス反応の誘発、そして拡張性の制限といった問題を抱えており、臨床応用は限定的である。
 韓国の研究チームは今回、初代ヒトT細胞向けに最適化されたマイクロ流体液滴細胞メカノポレーションシステムを利用して、2000 kDaのフルオレセインイソチオシアネート (fluorescein isothiocyanate: FITC) - デキストランの送達を試みたところ、高密度細胞においても約98%の効率と90%を超える処理後生存率を達成し、治療上有意義な細胞数の迅速な産生が実現された。
 このプラットフォームはmRNAを効率的に送達し、99%に近いトランスフェクション効率を達成する。さらに、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするmRNAを送達することで、表面発現を調整可能なCAR発現T細胞を作製することにも成功した。
 CRISPR-Cas9 RNPは、単一ノックアウトと多重ノックアウト(TRAC およびPDCD-1 )の両方において効果的に送達され、通常のエレクトロポレーションよりも最大2.35倍高い効率を達成した。さらに、縦断的解析により、生存率、増殖、ゲノム完全性、およびT細胞表現型の安定性が維持されていることが確認された。
 こうして、マイクロ流体液滴細胞メカノポレーションは、人工のT細胞療法の臨床製造において、安全で効率的かつ拡張可能なプラットフォームであることが証明された。
[*] 関連crisp_bio記事
[出典]
  • "Safe and Efficient CRISPR Genome Editing of Primary Human T Cells Using a Droplet-Based Cell Mechanoporation Platform" Kim YJ, Bang S, Chung AJ. Small. 2026-02-05. https://doi.org/10.1002/smll.202512553 [所属] Korea University (Department of Bioengineering; Interdisciplinary Program in Precision Public Health; School of Biomedical Engineering) (韓国), MxT Biotech
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