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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 抗生物質耐性(Antibiotic Resistance: AR)は、公衆衛生上の脅威として深刻化しており、耐性細菌集団を制御するための革新的な戦略が求められている。有望なアプローチの一つとして、微生物群集内で拡散してAR遺伝子を排除できる可動性遺伝要素(genetic elements)を合成することが挙げられる。UCSDのEthan Bier卓越教授らは以前に、CRISPRを基盤とした遺伝子ドライブ様システム(gene-drive-like system)であるA conjugal gene drive-like systemPro-Active Genetics(Pro-AG)を開発した [*][右図参照]Pro-AGは、ARコロニー形成単位(CFU)の約5桁低減を実現した。
 研究チームは今回、接合伝達システムを利用してPro-AGを進化させた。すなわち、抗AR遺伝子カセットを2つの細菌株間で効率的に伝播させることで、より効率的なAR排除を実現した。
 さらに、CRISPRを基盤とした相補的相同性に基づく欠失(homology-based deletion:HBD)プロセスの特徴を明らかにした。これは、短い直接反復配列に挟まれた標的DNA配列を正確に除去するメカニズムである。研究チームは、このHDBとPro-AGが細菌のRecA経路によって異なる影響を受け、HBD成分をプラスミドまたはファージを介して送達することでPro-AGカセットを選択的に除去できることを明らかにした。この内蔵型安全装置は、遺伝子カセットの制御不能な拡散を防ぎ、予期せぬ副作用を軽減する。
 こうした一連の改良により、Pro-AGの効率と柔軟性が向上し、マイクロバイオーム工学、環境修復、抗生物質耐性への対処を目的とした臨床介入における応用の可能性が拡大した。
[*] 
crisp_bio 2019-12-18 バクテリアを標的とする遺伝子ドライブシステムを開発、多コピーの薬剤耐性遺伝子座を効率的に不活性化. https://crisp-bio.blog.jp/archives/21240543.html
[出典]
  • "A conjugal gene drive-like system efficiently suppresses antibiotic resistance in a bacterial population" Kaduwal S [..] Bier E. npj Antimicrob Resist 2026-02-02. https://doi.org/10.1038/s44259-026-00181-z [所属] UCSD (Cell and Developmental Biology; Tata Institute for Genetics and Society; Ecology, Evolution and Behavior)
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