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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 CRISPR-Casシステム、特にCas9は、その誕生以来、ライフサイエンス分野への応用において計り知れない可能性を示してきた。しかし、さらなるCas9ツールキットの拡張は、配列アライメントに基づくマイニングと最適化戦略によって制約されている。中国農業科学院の動物科学研究所と生物技術研究所の研究チームは今回、新規Cas9タンパク質の発見とエンジニアリングのため深層学習モデルであるCasMinerを開発した。
 はじめに、UniRef90データベースにおいてCas9ヌクレアーゼとしてアノテーションされた、長さ801~1820アミノ酸の1,946個のタンパク質配列データセット(すなわち、ポジティブデータセット)を用いて深層学習モデルをトレーニングした。次に、ポジティブデータセットからシャッフル(すなわちランダム化)された配列を含むデータセット(すなわち、ネガティブデータセット)を10種類生成した。これらのデータセットでは、アミノ酸頻度はそのままに、配列に潜む潜在的な特性は徹底的に破壊されている。ポジティブデータセットと一連のネガティブデータセットを利用して、CNN-LSTM ネットワークベースのフレームワークをトレーニングし、10 種類の異なるモデルを生成・評価した。
 こうしてCasMinerはCas9配列の特定の特性を学習・可視化し、Cas9タンパク質の予測において99.63%の精度を達成し、Vagococcus penaei  strain CD276Tゲノムから新規なCas9 'VpCas9' を同定​​した。VpCas9は1,332 aaで構成され、SpyCas9との配列同一性は48.8%であった。
 VpCas9は強力な二本鎖切断活性を示したが、研究チームは、CasMinerと進化解析を組み合わせることで構造的剛性と正電荷が著しく向上した3つのCas9バリアントを作出した。
 VpCas9とその改変バリアントは、イネカルス、安定形質転換イネ、トウモロコシ(Zea mays)プロトプラスト、哺乳類HEK293T細胞など、多様なシステムにおいて、ゲノム編集において高い効率と特異性を示した。中でも、イネカルスとトウモロコシプロトプラストにおけるVpCas9の活性はSpCas9と同等であり、3つの変異バリアントすべてが野生型よりも優れた性能を示した。
[出典]
  • "CasMiner: a deep learning tool for high-throughput mining and rational design of efficient Cas9" Xu G, Li S, Li H [..] Tian J, Chen R, Guan F. National Science Review 2026-02-09. https://doi.org/10.1093/nsr/nwag090 [所属] Institute of Animal Sciences CAAS (State Key Laboratory of Animal Nutrition and Feeding) (中国), Biotechnology Research Institute (National Key Laboratory of Agricultural Microbiology)
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