- 南京大学生命分析化学全国重点実験室の研究チームによるレビュー
CRISPR-Casシステムはゲノム編集と分子診断の双方に根本的な変革をもたらしてきたが、その能力は、アプリケーションに固有な制約によって十分に発揮されているとは、言い難い。
具体的には、治療目的のゲノム編集には、オフターゲット効果とデリバリーの課題が、診断およびバイオイメージング用途には、感度不足、高いバックグラウンド干渉、そして標的範囲の狭さの課題が、挙げられる。このような背景から、Casタンパク質やsgRNAといった中核機能成分を2つ以上の不活性フラグメントに分割し、事前に定義された条件下のみで機能する複合体へと再構成する一連の「スプリット型CRISPR-Casシステム」が開発された。
このアプローチによって、CRISPR -Casシステムの高精度な時空間制御が可能になり、ひいては、ヌクレアーゼ活性の時間的ウィンドウと空間的範囲を大幅に狭めることで、特異性を高めると同時に、オフターゲット効果と潜在的な毒性を軽減することが、可能になる。
また、スプリット型システムはモジュール型のシステムになることから、ブール論理演算(例:ANDゲート)の実装を容易にし、複雑なゲノム介入のためのプログラミング性も向上させる。
レビューでは、タンパク質および核酸ベースのセグメンテーションを含む主要な分割戦略を体系的にまとめられ、その活性化メカニズムが詳述される。さらに、スプリット型CRISPR-Casシステムの新たな応用例が取り上げられ、診断における特異性とプログラム可能性の向上における変革的な役割が示される。最後に、主要な技術的課題と次世代スプリットシステムが論じられる。
[出典]
- "Split technology in CRISPR-Cas system for precision genome manipulation and diagnostics" Gao Y, Yun Y, Zhang J. TrAC Trends Anal Chem. 2026-02-17. https://doi.org/10.1016/j.trac.2026.118751 [所属] Nanjing University (State Key Laboratory of Analytical Chemistry for Life Science) (中国)
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