crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 成体注入をベースとした昆虫ゲノム編集の近年の進歩により、これまで遺伝子改変が困難、あるいは不可能と考えられていた種を含む、幅広い昆虫種において遺伝子操作が可能になった。しかしながら、このアプローチでは、効率的なノックインの達成は、依然として、大きな課題である。
 先行研究で成体にCRISPR-Casシステムを注入する昆虫遺伝子編集法DIPA -CRISPR [#] を開発した京都大学大門高明教授らは今回、HUHエンドヌクレアーゼ [*]タグをCas9に融合することで、成体注入を介した非相同末端結合(NHEJ)ノックアウトと相同組換え修復(HDR)を介したノックインの両方が大幅に向上することを実証した。
 HUHタグ融合により、成体注入を介したコクゾウリムシ(Tribolium castaneum)のノックアウト効率が最大5倍向上した。これは、これまで認識されていなかった核局在活性に起因すると考えられる。HUHタグ融合は一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)を介したノックイン効率も向上させており、これはHUHタグの特徴的なssDNA結合活性によるものと考えられる。
 HUHタグ融合の汎用性を評価するため、従来の胚注入法でHUHタグ付きCas9を試験したところ、コオロギとトウワタムシの胚におけるHDRを介したエピトープ・タグのノックインが著しく向上した。
 これらの結果は、HUHタグ融合がNHEJとHDRの両方に基づくゲノム編集を改善するための汎用的で幅広い節足動物における遺伝子工学を進歩させるプラットフォームであることを、示している。
[出典]
  • "HUH-tagged Cas9 as a platform for efficient ssODN-mediated knock-in via embryo and adult injection in insects" Shirai Y, Kai JA, Kumar T, Matsuda N, Nakagawa R, Nureki O, Extavour CG, Daimon T. Commun Biol. 2026 https://par.nsf.gov/servlets/purl/10665932 [所属] 京都大学,  東京大学, Harvard University, HHMI (Chevy Chase)
 [#] 昆虫遺伝子関連crisp_bio記事
[*] HUH関連crisp_bio記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット