[注] CLIM-TIME: CRISPR-Laser-captured microdissection (LCM) Integration Mapping of the Tumor-Immune MicroEnvironment
固形腫瘍に、CAR-T細胞や腫瘍浸潤リンパ球(TIL)といったT細胞療法や癌ワクチンを適用するにあたって、腫瘍微小環境(TME)をより深く理解する必要がある。これまでに、空間的に分解された単一細胞および領域シーケンス研究により、遺伝的に異なる腫瘍サブクローンが異なるTMEを保持することが明らかになっている。しかし、腫瘍抑制遺伝子(TSG)の喪失がどのように特殊なTMEを形成し、免疫回避を促進し、T細胞応答を調節するのかは依然として不明である。
近年、遺伝子スクリーニングにCRISPR革命が起こり、免疫調節因子の同定も大きく前進したが、TMEの空間的複雑性の解明には未だ限界がある。最近のタンパク質バーコード化CRISPR摂動 (perturb) マッピング(Perturb-map)はTMEについて新たな知見をもたらしたが、空間的に複雑なTMEとコンテクストに依存する免疫調節因子を体系的に解読するためのスケーラブルなアプローチは未だに不足している。
今回、中国科学院分子細胞科学卓越創新センター(生物化学細胞所と生物学研究所が統合されたセンター) を主とする研究チームは、スケーラブルな腫瘍微小環境の解析に向けて、CRISPRレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)統合マッピング(CLIM-TIME)を開発した。
- CLIM -TIMEはin vivo CRISPRスクリーニングとLCMベースのトランスクリプトミクス、トランスクリプトーム・デコンボリューション、およびマルチプレックス免疫蛍光を統合したプラットフォームである。
- CLIM-TIMEは、腫瘍抑制遺伝子(TSG)の喪失がTMEをどのように再形成し、免疫応答を調節するかを空間分解マッピングすることを可能にする。
- 391のTSGを標的とするsgRNAライブラリを使用して、7つのTMEサブタイプを同定し、免疫回避および治療反応との関係を定義した。
- DNA損傷修復およびポリコーム抑制複合体(PRC)経路におけるTSGノックアウト(KO)は、腫瘍をT細胞療法に対して感作した。
- 対照的に、Hippo経路TSGの喪失は、細胞外マトリックス(ECM)の増加を伴う、過剰なコラーゲン沈着を伴う骨髄球が豊富でT細胞が排除されたTMEを形成することで、免疫回避および治療抵抗性を促進した。
研究チームは、Hippo経路TSGの喪失に伴う免疫抑制ニッチの重要なメディエーターとして、ECMコラーゲン架橋酵素LOXL2を同定した。LOXL2阻害は転移性TMEニッチを効果的にリモデリングし、T細胞浸潤が促進され、複数の癌における肺転移の治療効果が向上した。
こうして、CLIM-TIMEが、腫瘍抑制遺伝子の喪失と、転移性免疫構造の違い、そして免疫療法に対する多様な反応を関連付けるプラットフォームであることが実証された。
[出典]
- 論文 "CLIM-TIME identifies metastatic microenvironment modulators for T cell therapy response" Wang Y, Hu W, Xia R, Yang X [..] Jing N, Chen L, Wang G. Cell. 2026-03-05. https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.12.042 [所属] [所属] Center for Excellence in Molecular Cell Science CAS (中国), Guangzhou National Laboratory, Fudan University, Hangzhou Institute for Advanced Study, Shanghai Jiao Tong University (School of Mathematical Sciences, School of AI), University of CAS, Yale University School of Medicine (米国), 東京大学 ニューロインテリジェンス国際研究機構;グラフィカルアブストラクト https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S0092867425014916-fx1_lrg.jpg
- PREVIEW "CLIM-TIME links genetic cancer drivers to immune landscapes" Zhu L, Yang C, Bernards R, Wang C. Cell 2026-03-05. https://doi.org/10.1016/j.cell.2026.01.014 [所属] Shanghai Jiao Tong University School of Medicine (State Key Laboratory of Systems Medicine for Cancer) (中国), The Netherlands Cancer Institute (Oncode Institute) (オランダ)
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