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 ミシガン大学の研究チームが、その最も一般的な疾患原因である TGFBI 遺伝子の変異をABE8e-NGで修正することに成功し、格子状角膜ジストロフィーおよび顆粒状角膜ジストロフィーを対象とする前臨床試験への道が開かれたとInvestigative Ophthalmology & Visual Science 誌刊行論文で主張している。
 研究チームは、前述の角膜ジストロフォーの最も一般的な疾患原因となるTGBFI 変異であるR124CまたはR555Wのコピーを有する2つのヒト角膜上皮(human corneal epithelial:HCE)細胞モデルを作製し、これらの細胞株に、ABE8e-NGをコードするmRNAと、これらの変異を標的とするガイドRNAをエレクトロポレーションにて導入し、得られたA•T-to-G•C編集効率とオフターゲット効果を、アンプリコンシーケンシングによって評価した。また、異なるカプシド型を有するGFP発現アデノ随伴ウイルス(AAV)をHCE細胞および健常ヒト角膜ドナー組織に導入し、GFP蛍光を評価した。
 ABE8e-NGを利用することで、野生型アレルを改変することなく、HCEの TGFBI<R124C/WT> 細胞およびTGFBI<R555W/WT> 細胞における病原性アデニンの91%および62%の修正を達成した。望ましくないインデル形成は無視できる程度(<0.2%)、バイスタンダー・アデニン編集も最小限(<0.7%)、in silicoで予測された上位オフターゲット部位における編集は中程度(解析した20の部位のうち1つを除くすべての部位で<1.2%)であり、安全性への懸念は最小限であることが示唆された。
 重要なことは、HCEにおけるTGFBI<R124C/WT> の修正により、TGFBIの異常なリソソーム局在が回復したことである。
 なお、ヒト角膜ドナー組織およびHCE細胞の両方への遺伝子送達に最も効果的なAAVとして、AAV1が特定された。


[出典]
  • "CRISPR Base Editing Correction of TGFBI Mutations in Autosomal Dominant Corneal Dystrophies" Chen J, Davison CW, Ellis J, Blevins B, Presley W, Myers MT, Kong D, Hou Z, Mian SI, Prasov L, Zhang Y. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2026-02-02. https://doi.org/10.1167/iovs.67.2.60 [所属] University of Michigan (Dept Biological Chemistry; Dept Ophthalmology and Visual Sciences; Dept Human Genetics; Dept Microbiology and Immunology)
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