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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 拘束性心筋症(restrictive cardiomyopathy: RCM)は、心室充満障害と拡張期機能障害を特徴とする重篤な心疾患であり、タンパク質複合体のサルコメアの変異が主要な原因因子となっている。TNNI3 遺伝子の変異(例:p.R192H;塩基変異 c.578G>A)は、RCMの主要な遺伝学的原因であり、特に小児患者に多く、予後不良と関連している。
 浙江大学、西湖大学、国家進血管中心などを主とする中国の研究チームは今回、アデニン塩基編集因子(ABE)がRCMを引き起こす変異を効果的に修正し、マウスモデルにおいてRCMの症状を軽減できることを、Cell Reports Medicine 誌刊行論文から紹介している [グラフィカルアブストラクト引用右下図参照]
 Therapeutic base editing研究チームはまず、ヒトRCMの特徴的な特徴を再現する Tnni3<R193H/R193H> 変異を有するマウスモデルを開発した。その上で、アデノ随伴ウイルス(AAV)を介したABE8e-SpRY-HF1*の標的送達により、成体RCMマウスにおいてTnni3 <R193H> 変異を効率的かつ正確に修正することで、心機能の大幅な改善をもたらし、寿命も伸びることを、確認した。
[*] ABE7.10とABE8eをベースに、様々なCas9(SpCas9 [NGG PAM], Cas9-SpRY [NYN PAM]とCas9-SpRY-HF1, KKH-SaCas9 [NNNRRT PAM] )の組み合わせたエディターを評価した結果、ABE8e-SpRY-HF1を採用
 こうして、ABEによる塩基編集がRCMの治療戦略として確立され、臨床現場における遺伝性心筋症の治療におけるより広範な可能性を示唆するに至った。

[出典]
  • "Therapeutic base editing alleviates restrictive cardiomyopathy" Chong C, Zhang X, Fan X [..] Chang X. Cell Rep Med. 2026-02-27. https://doi.org/10.1016/j.xcrm.2026.102639 [所属] Zhejiang University, Westlake University, National Center for Cardiovascular Diseases, Fudan University, Fuwai Yunnan Hospital
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