CRISPR-Cas12aのトランスssDNA切断活性(コラテラル切断活性)をベースにした診断法は核酸検査に革命をもたらしたが、臨床応用可能な感度を実現し、コンタミネーションを防止するために、等温増幅と統合されたワンポットフォーマットへと開発が進められている。
このワンポットフォーマットを実現するためには、CRISPRシステムによってプログラムされた標的を切断するプロセスであるシス切断を制御することが必須である。これは、標的テンプレートが十分な増幅が行われる前に制御不能なシス切断によって早期に枯渇し、等温増幅の統合によって得られる感度向上が損なわれるためである。この課題を克服するための様々な戦略の中で、増幅とCRISPR反応の物理的分離 や光制御により、増幅後にCRISPR反応を行うアプローチが試行されているが、追加の操作手順や特殊な装置が必要となり、リアルタイム検出が制限される。
一方、増幅とCRISPR反応が同時に進行する同時増幅-切断戦略は、シス切断を弱めることで増幅が支配的なプロセスとなるようにすることで効果的な感度を実現しようとするアプローチであり、外部活性化ステップなしで動作し、リアルタイム検出を可能にする。しかし、標的遺伝子のプログラムとシス切断活性はCRISPR RNA(crRNA)設計時に同時に決定されるため、CRISPR反応の前に等温増幅を利用する場合に適合するように切断活性を最適化するには、プログラムされたcrRNA配列を変更する必要が必然的に生じる。この要件は、適合可能な標的配列の範囲を根本的に制限し、診断アッセイの柔軟な設計に制約が課され、設計の自由度が限定される(カスタマイズ性/customizability が限定される)。
Min-Gon Kim教授が率いるGwangju Institute of Science and Technologyの化学分野の研究チームは、crRNA設計に固有の2つの機能を分離し、それぞれを独立して制御できるようにすることで、カスタマイズ可能なワンポットシステムを
構築した。[グラフィカルアブストラクト引用右図参照]
この戦略では、標的プログラミングはcrRNA配列によって定義され、シス切断活性を、標的認識・切断の過程に必須のRループ形成に伴う反応エネルギー障壁によって制御される。
構築した。[グラフィカルアブストラクト引用右図参照]この戦略では、標的プログラミングはcrRNA配列によって定義され、シス切断活性を、標的認識・切断の過程に必須のRループ形成に伴う反応エネルギー障壁によって制御される。
具体的には、crRNAと相補的なRNAオリゴヌクレオチドを導入することで、このエネルギー障壁を選択的に調節し、crRNA配列を変更することなく切断制御を実現する。その結果、このアプローチは、プログラムされた標的配列に依存せず、シス切断活性が等温増幅条件に適合することを保証し、カスタマイズ可能なCRISPR診断システムを実現した。
120例の患者由来サンプルを用いてこのシステムの臨床応用性を検証し、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に匹敵する感度と特異性を達成することを確認した。
こうして、等温増幅とCas12aコラテラル活性をベースとするCRISPR Dxの根本的な制約が解消され、次世代核酸検査のためのカスタマイズ可能で臨床展開可能なプラットフォームが確立されるに至った。
[出典]
- "Functional decoupling of crRNA enables customizable CRISPR diagnostics" Park H [..] Kim MG. Nucleic Acids Res. 2026-03-03. https://doi.org/10.1093/nar/gkag189 [所属] Gwangju Institute of Science and Technology (韓国)
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