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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] 経口投与薬SNIPR001の開発は、2023年にNature Biotechnology 誌刊行査読論文で紹介され、2025年6月から第1b相試験が開始されていた。SNIPR001当ブログでも2023年から2025年にかけて紹介記事を投稿していた:2023-05-10/2025-09-14CRISPR-Casシステムを送達可能なファージの発見・加工により、マウス体内での E. coli の選択的除去を実現. [その時の挿入図を右図に引用]

なぜ腸内大腸菌を標的としたか?
 造血幹細胞移植を受ける血液がん患者は、大腸菌などの多剤耐性腸内細菌によって引き起こされる血流感染症のリスクがある。

SNIPR001とは?
 CRISPR-Casで「武装した」4種類のバクテリオファージを組み込んだカクテルで、動物モデルの消化管における大腸菌の定着を抑制し、他の常在細菌叢に影響を与えないように設計された。

臨床試験NCT05277350の概要
 ヒト初となるランダム化プラセボ対照用量漸増試験であり、36名の健康な被験者の3つのコホートに1日2回、それぞれ、108 PFU (Plaque-Forming Unit), 1010 PFU、1012 PFU、またはプレセボを7日間投与し, 187日目まで追跡した。
 グレード3~4または重篤な有害事象は報告されず、腸内マイクロバイオームの構成には影響がなく、機能的なファージは消化管に局在していた。1012 PFU投与群では、14日目に大腸菌レベルが78%減少したが、統計的に有意な減少には至らなかった。このSNIPR001のヒト初回投与試験は、腸内細菌叢を全身的に破壊することなく、その安全性、忍容性、および消化管への限定性が裏付けられた。
 これらの結果は、現在実施中の第1b/2a相試験におけるSNIPR001のさらなる臨床開発を正当化するものであった。

[SNIPR001関連crisp_bio記事]
[出典] 
  • 論文 "Safety, recovery, and pharmacodynamics of CRISPR–Cas therapeutic SNIPR001: a phase 1, randomised, double-blind, first-in-human, dose-escalation study" Petersen AØ [..]  Sommer MOA, van der Helm E,, Grøndahl C. Lancet Microbe. 2026-03-02. https://doi.org/10.1016/j.lanmic.2025.101257 [所属] SNIPR Biome (デンマーク), Novo Nordisk Foundation Center for Biosustainability, JAFRAL (スロベニア), Memorial Sloan-Kettering Cancer Center (Dept Infectious Disease) (米国), Weill Cornell Medicine (Dept Infectious Diseases) 
  • 臨床試験 NCT05277350: A Study Investigating the Safety, Recovery, and Pharmacodynamics of Multiple Oral Administrations of SNIPR001 in Healthy Subjects
  • https://clinicaltrials.gov/study/NCT05277350
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