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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 子宮内膜癌は、女性生殖器系の悪性腫瘍として広く蔓延しており、その発生率は増加傾向にあり、早期発症の傾向も見られる。ホルモン療法は妊孕性温存の第一選択肢であるが良好な反応を示さない患者も少なくない。今回、山東大学斉魯医院を主とする中国の研究チームが黄体ホルモン療法に対する耐性機構の解明を目指して、Ishikawa細胞株を対象とするゲノムワイドCRISPR/Cas9スクリーンに続いて合成ホルモン剤のメドロキシプロゲステロンを投与した上でハイスループットシーケンシングを実施し、MAGeCK RRA (Robust Rank Aggregation) とMAGeCK MLE (Maximum Likelihood Estimation) アルゴリズムを用いて、遺伝子発現およびエンリッチメント解析を行った。
  • プロゲステロン抵抗性細胞株の配列データの反復交差検証を貸して、プロゲステロン抵抗性に関連する重要な遺伝子を同定した。同定された上位10個の遺伝子は、Cell Counting Kit-8(CCK-8)アッセイとアポトーシス検出により、以前に確立したプロゲステロン抵抗性細胞モデルで機能的に検証された。
  • プロゲステロン抵抗性遺伝子 NNMT とプロゲステロン感受性遺伝子 SOX17 は、異種移植マウスモデルにおいてin vivoで検証された。
  • RRAアルゴリズムとMLEアルゴリズムで解析した結果、それぞれ、332個と829個のネガティブ選択遺伝子、および3438個と5098個のポジティブ選択遺伝子が同定された。
  • エンリッチメント解析からは、DNAおよびRNA合成、代謝、および関連プロセスに関連するパスウェイが示唆された。
  • 複数回の交差検証の後、プロゲステロン抵抗性を促進する遺伝子を合計5個、抵抗性を阻害する遺伝子を20個同定し、機能実験でそれらの役割を確認した。 
 こうして、CRISPR/Cas9技術を用いることで、子宮内膜癌におけるプロゲステロン抵抗性に関連する重要な遺伝子の比較的信頼性の高いネットワークを構築することに成功し、DNAおよびRNA合成、代謝、および関連メカニズムに関わるプロセスが、子宮内膜癌のプロゲスチン感受性に大きな影響を与えることが示唆された。

[出典]
  • "Construction and initial validation of key gene network for progesterone resistance in endometrial cancer based on genome-wide CRISPR screening" Li X [..] Cheng L, Liu Y, Jiang J. Sci Rep. 2026-03-03. https://doi.org/10.1038/s41598-026-36534-x [所属] Qilu Hospital of Shandong University (Dept Gynecology and Obstetrics; Gynecologic Oncology Key Laboratory of Shandong Province; Dept Radiology; Dept Gynecology and Obstetrics), The Affiliated Yantai Yuhuangding Hospital of Qingdao University (Dept Gynecology and Obstetrics), Shandong Provincial Hospital Affiliated to Shandong First Medical University (Dept Gynecology), Shandong First Medical University (Shandong Key Laboratory of Reproductive Research and Birth Defect Prevention)
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