レンチウイルスベクターは、幅広い細胞種に適用できる汎用性と、長期的な遺伝子操作を可能にする宿主ゲノムへの安定した導入を両立させられることから、機能ゲノミクスおよびゲノム工学アプリケーションにおいて分子成分を送達するための不可欠なツールとなっている。一方で、予測不可能な導入プロファイルや細胞導入感受性が変動することから、実験バイアスが生じる可能性がある。
オーストリアUniversity of Natural Resources and Life SciencesのNicole Borth教授が率いるオーストリア、スロベニア、スイス、米国の研究チームは今回、細胞株固有の特性と導入方法の影響を考慮し、スピノキュレーション法と静的導入法という2つの手法 [出典グラフィカルアブストラクト中段参照] を体系的に比較することで、標題の最適化を実現した。
浮遊培養に適応させたCHO-K1細胞と、形質導入の許容性が高い「カナダ国立研究評議会(NRC)で開発された、抗体などの組換えタンパク質の高効率・高密度な一過性発現に適したHEK293由来HEK293-6E細胞株」の双方について、レンチウイルス送達を最適化した。
スピノキュレーションは、形質導入が困難な細胞株におけるウイルス感染率の向上に広く使用されているが、再現性、細胞回収、拡張性の点で大きな課題がある。2段階の静的形質導入プロトコルを導入することで、細胞ストレスを最小限に抑え、ワークフローを効率化し、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングなどの大規模アプリケーションで発生するスケーラビリティの制限を排除しながら、ライブラリ導入効率を大幅に向上させた。
[出典]
- "Overcoming lentiviral delivery limitations in hard-to-transduce suspension cells for genome-wide CRISPR screening" Napoleone A [..] Borth N. Mol Ther Adv. 2026-01-26. https://doi.org/10.1016/j.omta.2026.201678 [所属] Austrian Centre of Industrial Biotechnology (オーストリア), University of Natural Resources and Life Sciences, Novartis Pharmaceutical Manufacturing LLC (Biologics Research Cente)(スロベニア), Novartis Pharma AG (Biologics Research Center)(スイス), Johnson & Johnson Innovative Medicine (米国)
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