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2026-03-29 原著論文著者らによる論文紹介である"Research Briefing"記事を引用:
 原著論文共著者のRong ZhengとLijia Maによるサマリーと専門家と編集者からのコメントの中から”Behind the paper"のセクションを紹介
:以前発表されたSuperFi-Cas93の合理的な設計には魅了されましたが、細胞内での切断活性が低いことに戸惑いました。そこで、この高精度Cas9が特定の特性を持つ標的部位で使用可能かどうかを、9万以上のゲノム標的をスキャンすることで検証することにしました。このハイスループット解析から得られた配列選択性は驚くべきもので、sgRNA-標的二重鎖の隣接位置における特定のヌクレオチドの頻度に偏りがあることが分かりました。私たちの研究はこれらの最初の発見から始まりました。スペーサー伸長戦略がSuperFi-Cas9の切断活性の低下を回復させるのに予想外に効果的であることを発見しました。この伸長により、ヌクレアーゼとPAMから離れたsgRNA-標的二重鎖との間に新たな相互作用が効くのです。
[出典] "Extending guide RNA length restores high-fidelity CRISPR–Cas9 activity" Nat Struct Mol Biol. 2026-03-20.
https://doi.org/10.1038/s41594-026-01765-z

2026-03-23 Nature Structural & Molecular Biology 誌刊行論文に準拠した初稿
 CRISPR-Cas9ニクレアーゼの高忠実度化は、しばしば切断活性の低下を招く。一方、高忠実度実現に向けて導入された変異がCas9の切断活性を低下させるメカニズムは多くの場合不明であり、臨床応用における標的への特異性と編集効率のバランスを取る上で課題となっている。
 西湖大学を主とする中国の研究チームは今回、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)遠位領域のRuvCドメインに7つの変異を持つ高忠実度Cas9変異体であるSuperFi-Cas9 [crisp_bio 2022-08-10] の変異導入による切断活性の低下が、スペーサー領域を21または22ヌクレオチドに延長することで回復し、内因性部位において野生型Cas9の最大97.1%の切断活性を達成したことを、その構造基盤と共に、Nature Structural & Molecular Biology 誌刊行論文で、紹介している。
 クライオ電子顕微鏡構造解析と変異解析により、RuvCドメインの突出ループにおける負電荷変異が反発力を生じさせ、sgRNA-DNA複合体を不安定化させることが明らかになった。これに対して、スペーサーの伸長により、PAM遠位領域での相互作用が強化され、切断活性が効果的に回復し、編集効率と特異性のバランスが取られる [*1]
 研究チームはさらに、高忠実度ゲノム編集に最適なsgRNA長を予測する深層学習モデルAIdit-SuperFiを開発[*2]https://aidit-superfi.wllsb.edu.cn/ から公開した [下図左右はいずれもWebサイトのスクリーンキャプチャ]
Improving the efficiency of high-fidelity 1Improving the efficiency of high-fidelity Cas9 by enhancing
[*1] 構造基盤の詳細
 SuperFi-Cas9の構造解析により、22ヌクレオチドスペーサーsgRNAは、20ヌクレオチドスペーサーsgRNAよりも、Lys929、Lys948、Arg951およびsgRNA-TS二重鎖のより多くの5'末端を介した相互作用を強化することが、明らかにされた。これらの相互作用を阻害したSuperFi-Cas9変異体は、5'末端伸長sgRNAを使用しても切断活性を失った。
 さらに、スペーサーの伸長によってもたらされるこれらの強化された相互作用は、上述の「SuperFi-Cas9 が持つ 7 つの負電荷を持つアスパラギン酸変異によって引き起こされる反発静電力」を補償しているようであり、これらを 7 つのアラニンに置き換えると、ヌクレアーゼは SpCas9 と同様に 20 nt スペーサー sgRNA を効率的に使用できるようになった。
[*2] 高忠実度ゲノム編集に最適なsgRNA長を予測する深層学習モデルAIdit-SuperFi
 ハイスループットのgRNAと標的配列のペアのライブラリを活用し、2の種類のヒト細胞株(K562とJurkat)において、929,180個のgRNAについて、標的部位での編集効率、標的部位以外での編集特異性、およびDSB修復プロファイルを包括的に明らかにした。2種類の細胞株は、すべてのタンパク質コード遺伝子と17,177個の非コード遺伝子を網羅している。
 この高品質かつ過去最大規模のgRNA-標的ペアデータセットを利用して、編集特異性予測モデルAIdit-SuperFiを学習させた。
 AIdit-SuperFiは畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とトランスフォーマーエンコーダーに基づいており、sgRNA、PAM、ターゲット、および隣接するゲノム領域のヌクレオチド配列に基づいて予測し、ユーザーが定義した遺伝子座から、インデル頻度、フレームシフト、非フレームシフト、およびオフターゲット効率を予測する。
 AIdit-SuperFiを構成する、標的部位での予測 AIdit_ON、標的部位以外での予測 AIdit_OFF、および、SpCas9誘導DSB修復結果の予測 AIdit_DSBは、いずれも既存の手法を凌駕する性能を示した。
[構造情報]
  • EMD-62054, 62055 / PDB 9K4D: SuperFi Cas9 - 20nt sgRNA - DNA ternary complex (3.53 Å)
  • EMD-65730 / PDB 9W7Q: SuperFi Cas9 - 20nt sgRNA - DNA ternary complex Class A (3.79 Å)
  • EMD-65732 / PDB 9W7T : SuperFi Cas9 - 20nt sgRNA - DNA ternary complex Class B (3.91 Å) 
  • EMD-65733 / PDB 9W7U : SuperFi Cas9 - 20nt sgRNA - DNA ternary complex Class C (3.83 Å)
  • EMD-65734 / PDB 9W7V : SuperFi Cas9 - 20nt sgRNA - DNA ternary complex Class D (3.81 Å)
  • EMD-65827 / PDB 9WAW : SuperFi Cas9 - 20nt sgRNA - DNA ternary complex Class E (3.95 Å)
  • EMD-62054 / PDB 9K4C : SuperFi Cas9 - 22nt sgRNA - DNA ternary complex (3.84 Å)
  • EMD-65771 / PDB 9W9D : SuperFi Cas9 - 22nt sgRNA - DNA ternary complex (4.4 Å)
  • EMD-65809 / PDB 9WA9 : SuperFi Cas9 - 22nt sgRNA - DNA ternary complex Class B (4.12 Å)
  • EMD-65810 / PDB 9WAA : SuperFi Cas9 - 22nt sgRNA - DNA ternary complex Class C (4.17 Å), 
  • EMD-62054~57 / PDB 9K4E : SuperFi Cas9 - mismatch 22nt sgRNA - DNA ternary complex class2  (3.27 Å)
  • EMD-62054~57 / PDB 9K4F : SuperFi Cas9 - mismatch 22nt sgRNA - DNA ternary complex class2 (3.27 Å)
  • EMD-62059 / PDB 9K4H : SuperFi Cas9 - mismatch 22nt sgRNA - DNA ternary complex class3  (3.36 Å)
[出典]
  • "Improving the efficiency of high-fidelity Cas9 by enhancing PAM-distal interactions" Zheng R [..] Huang J, Ma L. Nat Struct Mol Biol. 2026-03-18. https://doi.org/10.1038/s41594-026-01753-3 所属] Westlake Laboratory (中国), Westlake University (School of Life Sciences), Westlake Genetech LTD, Southern University of Science and Technology (Dept Chemical Biology; Institute for Biological Electron Microscopy 
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