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 BioNTech社を主とする研究チームが、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の手術後に、術前または術後補助療法を受けたTNBC患者14名を対象に 、個別化ネオアンチゲンmRNAワクチン接種の結果を Nature 誌刊行論文から紹介している。

 TNBCは、疾患の初期段階であっても再発や転移を起こしやすく、再発率は約3年後にピークに達し、その後急速に低下する。DNA修復機能の不全、内在性のゲノム不安定性、そして免疫原性の高い腫瘍微小環境といった特徴から、TNBCは、ネオアンチゲンとして作用する体細胞がん変異を標的とする個別化ワクチン療法の有望な候補である。
 研究チームは、次世代シーケンシング(NGS)を用いてTNBC患者の変異を検出し、T細胞免疫を誘導する可能性のあるネオアンチゲンを予測するIndividualized mRNA vaccines evoke Extended Data Fig. 1「個別化ネオアンチゲンRNAワクチンアプローチ」を開発した [Extended Data Fig. 1引用右図 (a) 参照]。これは、メラノーマ、膵臓がん、その他の固形がん患者を対象とするで取られているアプローチである。
 今回具体的には、個々の患者から得られた複数の癌変異配列を連結し、免疫賦活性を持つ非ヌクレオシド修飾ウリジンmRNAの2つの鎖Individualized mRNA vaccines evoke
[Uchida et al., Biomaterials 2018] にコードした [Fig. 1引用右図 a の最下段 (Bottom) 参照] mRNAのキャップ、5'および3'非翻訳領域、およびポリ(A)テールの分子設計により、ヒト樹状細胞におけるコード配列の翻訳を促進した。コード配列には、分泌シグナルペプチド (secretory signal peptide)とMHCクラスI輸送ドメイン(MITD)タグが融合され、コードされた抗原のヒト白血球抗原(HLA)クラスIおよびII提示とCD8+およびCD4+ T細胞による認識が強化されている。個別化ワクチンの静脈内投与用のリポソームナノ粒子(LPX)製剤は、体内のすべてのリンパ組織に存在する樹状細胞を標的とする。 RNA-LPXワクチン技術におけるウリジンmRNAの使用は、抗原送達とToll様受容体(TLR)を介したI型インターフェロン駆動型抗ウイルス免疫応答による共刺激を結びつけ、ヒトにおける抗原特異的T細胞の著しい増加をもたらし、非変異自己抗原に対しても有効である。
 ほぼ全患者の末梢血において、複数のネオアンチゲンに対する高強度のワクチン誘導性T細胞応答(主にde novo T細胞応答)が検出され、数年間機能を維持した。個々の患者の特徴付けにより、これらのT細胞の大部分が2つのサブセットに分化することが明らかになった。すなわち、「すぐに作用する」細胞傷害性エフェクターT細胞を示すマーカーを有する後期分化表現型と、幹細胞様記憶表現型を有するT細胞である。
 11名の患者はワクチン接種後最大6年間再発しなかった。3名の患者で再発がみられた。ワクチン誘導性T細胞応答が最も弱かった患者は再発したが、その後の抗PD-1療法により完全寛解を達成した。別の患者では、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIの発現が低い腫瘍があり、ワクチン接種によってMHCクラスI欠損細胞が増殖した。また、3人目の患者はBRCA陽性で、遺伝的に異なる原発腫瘍からの再発であった。
 これらの所見は、TNBCにおける個別化RNAワクチンの実現可能性を示し、ワクチン誘導による機能的なネオアンチゲン特異的T細胞の持続性を明らかにし、将来のアプローチを導く可能性のある免疫回避メカニズムについての洞察を提供した。

[出典]
  • "Individualized mRNA vaccines evoke durable T cell immunity in adjuvant TNBC" Sahin U, Schmidt M, Derhovanessian E et al. Nature 2026-02-18/03-26. https://doi.org/10.1038/s41586-025-10004-2 [所属] BioNTech Group (ドイツ), TRON, HI-TRON Mainz,University Medical Center of the Johannes Gutenberg-University (Dept Obstetrics and Gynecology), University Hospital and German Cancer Research Center (Division Gynecologic Oncology), Helios Dr. Horst Schmidt Kliniken Wiesbaden (Klinik für Frauenheilkunde und Geburtshilfe), Uppsala University Hospital (Dept Immunology) (スエーデン)
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