crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 CRISPR-Casヌクレアーゼによる治療および研究への展開は、特定のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)への依存によって制約を受けており、ゲノム内のアクセス可能な部位が制限されている。CRISPRーCas9システムについては、ほぼPAMレスなバリアント [crisp_bio 2024-05-05] が開発されているが、南方科技大学のPengpeng Liu助理教授Yafeng Liang 教授 並びにJian-Kang Zhu講座教授 が率いる中国の研究チームは、先行研究で野生型Cas12iから誘導していた高活性なSF01 [crisp_bio 2024-05-11 - 1] のPAMレス化を試みた。
 AlphaFold3 [crisp_bio 2024-05-10] で予測された構造モデルを使用して、PAM相互作用界面の38残基を特定し、系統的に変異させた。この反復的なエンジニアリングプロセスにより、PAM特異性が劇的に緩和され、広範囲の5'-NNTN-3'部位で効率的な編集を可能にする、Structure-Guided Engineering FIGURE 1KR、IKRR、およびSTKRRという3つの優れたバリアントが得られた [FIGURE 1引用右図参照]
 重要なことに、最も広範囲のバリアント(STKRR)は標準的な部位でトレードオフを示すが、IKRRバリアントは標準的な5'-NTTN-3' PAMで高い活性を維持しながら、同時に5'-NNTN-3'部位で効率的な編集を可能にしたことである。このほぼPAMレスな活性により、ゲノムの標的領域は25%以上に拡大し、元々のSF01 [crisp_bio 2024-05-11 - 1] の4倍まで向上した。
 さらに、これらのバリアントを用いて構築されたアデニン塩基エディター(ABE)は、標的範囲が拡大した内因性遺伝子座において、高効率(約80%)の編集を実現した。
 GUIDE-tagおよびDigenome-seqを用いた包括的なオフターゲット解析により、SF01バリアントのオンターゲット活性の向上は特異性の低下を伴わないことが明らかになった。
 Structure-Guided Engineering GAこれらの改変ヌクレアーゼは、ゲノム編集ツールキットの強力かつ多用途な拡張であり、これまでPAMの制約により利用できなかったアプリケーションを可能にする [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]

[出典]
  • "Structure-Guided Engineering of a Cas12i Nuclease Unlocks Near-PAMless Genome Editing" Chen Q [..] Liu P, Liang Y, Zhu JK. Adv Sci. 2026-01-14. https://doi.org/10.1002/advs.202516670 [所属] Southern University of Science and Technology (Institute of Advanced Biotechnology), Zhejiang University (Zhejiang University-University of Edinburgh Institute) 
[Cas12i関連crisp_bio記事] 
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