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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

- 新たな品種の開発と気候変動への対応も

 柑橘類の苦味はフラバノンネオヘスペリドシドによってもたらされ、その蓄積は葉と果実の両方で発現する単一の酵素フラバノン-7-O-グルコシド-1,2-ラムノシルトランスフェラーゼ(1,2RhaT)によって触媒される。
 イスラエルの農業研究機構植物科学研究所のYoram Eyal准教授とNir Carmi研究員が率いる研究チームは、柑橘類の苦味をなくすため、CRISPR/Cas9ゲノム編集を用いてグレープフルーツ(Citrus paradisi )と“Carrizo” citrange(Citrus sinensis × Citrus trifoliata)の 1,2RhaT 遺伝子を不活性化した。
 編集された系統では、未成熟終止コドンの生成を介したフレームシフト変異が見られ、苦味のあるネオヘスペリドシドであるナリンギン、ネオヘスペリジン、ポンシリンの合成が効果的に阻害された。 1,2RhaT変異株の葉におけるメタボローム解析により、苦味のあるフラバノン-ネオヘスペリドシドの欠如と、無味のフラバノン-ルチノシドであるヘスペリジン、ジジミン、ナリルチンの代償的な増加が確認された。
 1,2RhaTは単一の遺伝子によってコードされているため、葉に見られた知見は果実においても同様であると予想され、健康に有益なフラボノイドのレベルは維持しながら苦味のない柑橘類品種を開発するための戦略の可能性が示されたことになる。
 さらに、これまで、フラバノン-ネオヘスペリドシドのレベルが高いために苦味が強すぎて受け入れられてこなかった耐寒性柑橘類が、1,2RhaT 遺伝子の不活性化後に耐寒性を導入する戦略に有用な供給源となる可能性がある。
 苦味遺伝子のゲノム編集は、グレープフルーツ市場の拡大と、より幅広い気候に適した耐寒性があり、風味豊かな柑橘類品種の育種への道を開くものと見られる。

[出典] 
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