CRISPR–Casシステムは、外来遺伝因子由来の短いDNA断片をCRISPRアレイに組み込む適応 (adaptation)プロセスによって、原核細胞に免疫を与えるシステムである。エマニュエル・シャルパンティエ 2020年ノーベル化学賞共同受賞者が率いるドイツの研究チームが、Nucleic Acids Research 誌刊行論文にて、標題のスペーサー獲得機構を報告している。
研究チームは、Cas1–Cas2インテグラーゼの特性をin vitroで解析し、スペーサーを最適に組み込むためのプレ・スペーサーとCRISPRアレイの配列要件を明らかにした。また、F. novicida のスペーサー獲得システムを大腸菌細胞に導入し、in vivoでは、効率的なタイプV-A CRISPR-Cas適応にはすべてのCasタンパク質を必要とすることが明らかになった [以下、グラフィカルアブストラクト引用右図参照]:
スペーサーは、cas 遺伝子をコードするプラスミド、プロファージのゲノム領域、および複製起点から優先的に獲得される。- Cas12が適応効率を著しく向上させる。
- Cas4は一本鎖DNAに対しては3'–5'エキソヌクレアーゼ活性を、二本鎖DNAに対してはATP非依存的な巻き戻し活性を、示し、Cas1–Cas2複合体と相互作用することで、
PAM依存的にプレ・スペーサーを処理する [Cas4を介したスペーサー統合機序についてFigure 7引用右図参照]。 - 生体内にCas4が存在することで、侵入者を標的とする上で重要な5'-TTTN-3' PAMの直下流のDNAから新たなスペーサーが生成されることが保証される。
- Cas2が、活性部位で金属を配位することで、スペーサーの完全組み込みを促進する。
[補足]
CRISPR-Casシステムは、標的のDNAとRNAを直接切断するエフェクター・タンパク質を含む一連のタンパク質で構成されているが、関与するタンパク質は、タイプによって差異がある。例えば、ほとんどのCRISPR -Casシステムに保存されているCas1とCas2が適応プロセスに関与するとされているが、タイプ V-C および V-D システムには Cas2は存在しない。また、いくつかのタイプでは、適応プロセスにCas1-Cas2以外のタンパク質が関与していることが知られている。
タイプI、タイプII、およびタイプVシステムの多くのCRISPR–Cas遺伝子座に cas4 遺伝子が保存されており、Cas4がCas1の活性部位と相互作用する安定なCas4–Cas1–Cas2複合体を構成し、Cas1とCas4の密接な相互作用がPAM依存性スペーサー統合を促進することも示唆されていた。
Cas4に加えて、Casエフェクター・タンパク質もスペーサー獲得において重要な役割を果たすことが報告されている。例えば、タイプII-Aシステムではエフェクター・ヌクレアーゼCas9、タイプI-Bシステム、タイプI-EおよびタイプI-FシステムにおけるCas3ヌクレアーゼとCascadeタンパク質である。
CRISPR-Casシステムは、標的のDNAとRNAを直接切断するエフェクター・タンパク質を含む一連のタンパク質で構成されているが、関与するタンパク質は、タイプによって差異がある。例えば、ほとんどのCRISPR -Casシステムに保存されているCas1とCas2が適応プロセスに関与するとされているが、タイプ V-C および V-D システムには Cas2は存在しない。また、いくつかのタイプでは、適応プロセスにCas1-Cas2以外のタンパク質が関与していることが知られている。
タイプI、タイプII、およびタイプVシステムの多くのCRISPR–Cas遺伝子座に cas4 遺伝子が保存されており、Cas4がCas1の活性部位と相互作用する安定なCas4–Cas1–Cas2複合体を構成し、Cas1とCas4の密接な相互作用がPAM依存性スペーサー統合を促進することも示唆されていた。
Cas4に加えて、Casエフェクター・タンパク質もスペーサー獲得において重要な役割を果たすことが報告されている。例えば、タイプII-Aシステムではエフェクター・ヌクレアーゼCas9、タイプI-Bシステム、タイプI-EおよびタイプI-FシステムにおけるCas3ヌクレアーゼとCascadeタンパク質である。
[出典]
- "Insights into spacer acquisition of the type V-A CRISPR–Cas system of Francisella novicida U112" Hille F, Wang C [..] Charpentier E. Nucleic Acids Res. 2026-03-19. https://doi.org/10.1093/nar/gkag276 [所属] Max Planck Unit for the Science of Pathogens (ドイツ), Max Rubner-Institute (Dept Microbiology and Biotechnology), Humboldt-Universität zu Berlin (Institute for Biology)
コメント