crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 インテリア・セラピューティクス(Intellia Therapeutics)社(以下、インテリア社)の遺伝性血管性浮腫(Hereditary Angioedema:HAE)治療薬 lonvo-z(Lonvoguran Ziclumeran;旧称 NTLA-2002)については、2021年2月8日以来、crisp_bioブログでもフォローして来たところ [*]、インテリア社が今回、第3相HAELO試験でプラセボ群と比較してHAEの発作が87%減少し、治療患者の60%以上が追跡期間中に発作を経験せず、重篤な有害事象が見られないという画期的な成果をベースに、2027年の発売に向けて、生物製剤承認に向けた段階的申請(Rolling Submission of Biologics License Application)[Certara blog 2025-02-03を開始しました。
 lonvo-zは、CRISPR GE技術を用いて肝細胞のKLKB1 遺伝子を永続的に不活性化し、ひいてはカリクレインの産生を永続的に抑制することで、ブラジキニン濃度を低下させることから、外来で1回静脈内投与する処方となります。
 世界初のCRISPR GE療法であった鎌状赤血球貧血治療薬Casgevy(Vertex社とCRISPR Therapeutics社)[crisp_bio2019-11-20/2025-06-14] は、血液から幹細胞を採取し、体外で遺伝子編集を行い、再び体内に注入するのに対して、long-zは生体内での遺伝子編集であり、細胞を採取する必要がありません。したがって、生体内遺伝子編集のアプローチは、血液とは異なり細胞の採取や再移植が困難な組織の疾患治療にも適用することができます。ちなみに、lonvo-zは、COVID-19ワクチンのmRNAを細胞に送達する際に用いられたのと同じ基盤技術である脂質ナノ粒子(LNP)の製剤となっています。
 インテリア社は2026年後半には、完全な生物製剤承認申請を提出することで、段階的申請を2026年完了し、2027年前半には販売を開始することを予定しています。 

[出典]
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