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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 Lipomyces starkeyi は菌体乾燥重量の60~80%に達する油脂を蓄積するという高い油脂生産能を備えていることから [NBRCニュース 2012-08-01]、産業化が有望な油性酵母とされています。しかし、そのゲノム編集(GE)には、遺伝子ターゲティング効率の低さと長い相同領域が必要とされるという制約がありました。今回、新潟薬科大学の髙久洋暁教授が責任著者となっているFEMS Yeast Research 誌刊行論文において、SV40 核局在シグナルに融合させたコドン最適化SpCas9 を発現させ、in vitroで合成されたsgRNAを宿主に直接導入することで、この制約を克服したことが、紹介されています。

[詳細]
 このアプローチのGE活性はまず、コドン最適化GFP レポーターを用いて検証されました。すなわち、GEを介したフレームシフト変異誘導により GFP が破壊され、蛍光が消失することが確認されました。
 続いて、LsURA3 遺伝子座での遺伝子置換を、50~3000 bp の相同領域を持つドナー構築物を用いて評価しました。 Cas9を発現する野生型株では、正確な遺伝子置換は相同アームの長さに依存し、50 bpのアームでは36%であったのに対し、3000 bpのアームでは80%に増加しました。
 特筆すべきことに、非相同末端結合(NHEJ)を抑制したCas9発現Δlslig4株では、50 bpの相同アームを用いて100%の精度で正確な遺伝子置換が達成されました。
 こうして、IVT sgRNAを選択して内因性 RNA ポリメラーゼ III に依存するsgRNA発現を回避したことにNHEJ抑制を組み合わせたことで、L. starkeyi における正確なゲノム編集が可能となり、L. starkeyi の機能ゲノミクスおよび代謝工学の道が開きました。

[出典]

  • "A CRISPR/Cas9-based genome-editing platform enabling efficient and precise gene replacement in Lipomyces starkeyi " Sato R [..] Takaku H. FEMS Yeast Res 2026-04-23. https://doi.org/10.1093/femsyr/foag014 [所属] 新潟薬科大学, 不二製油株式会社, 長岡技術科学大学 
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