プライムエディター(PE)は、Cas9やCas12aなどのヌクレアーゼ活性を介したGEと異なりDNA二本鎖切断を介さず、また、あらゆる種類の点変異(塩基変換)、挿入、欠失を精密に導入できる汎用的なGEツールですが、ヌクレアーゼベースのGEツールよりも編集効率が著しく低いことが弱点として燻り続けています。
このため、PEの部品であるCas9ニッカーゼやプライム編集ガイドRNA(pegRNA)の改変などが試みられてきました。その中で、PEをRNPとして送達する場合に、pegRNAの中のPBS(プライマー結合サイト)
[右図PEモデル図参照]とスペーサー領域の相補性を低下させることで、PEの複数のバージョンにおいて編集効率を向上させることが可能なことが報告されていました [crisp_bio 2023-06-03;crisp_bio 2025-01-07]
このため、PEの部品であるCas9ニッカーゼやプライム編集ガイドRNA(pegRNA)の改変などが試みられてきました。その中で、PEをRNPとして送達する場合に、pegRNAの中のPBS(プライマー結合サイト)
[右図PEモデル図参照]とスペーサー領域の相補性を低下させることで、PEの複数のバージョンにおいて編集効率を向上させることが可能なことが報告されていました [crisp_bio 2023-06-03;crisp_bio 2025-01-07] 今回、現在ハンガリー科学アカデミー生化学研究所のサイエンスアドバイザーであるErvin Welker博士が率いる研究チームは今回改めて、文献の網羅的調査とPBSとスペーサーの相互作用を弱めた300種類以上の改変pegRNAを用いた試験によって、PBSの長さと配列構成の影響を詳らかにしました。
- 末端保護のないプラスミド導入型pegRNAの場合は、PBS末端のエキソヌクレアーゼ消化により、効率的なプライミングに必要な長さよりもPBSの有効長がかなり長くなることが示唆されていました。しかし、3000種類以上のpegRNAに関する文献データを解析した結果、epegRNA [crisp_bio 2021-10-15] の最適なPBS長には従来のpegRNAからの有意な変化は見られませんでした。
- スペーサーまたはPBS配列にミスマッチを導入して相補性を阻害すると、編集効率が最大7倍向上することも確認され、また、この効果がPBSの長さが最適でない場合に顕著なことが明らかになりました。
- スペーサーのミスマッチと長いPBSに欠失を入れることを組み合わせると、最適なPBSと比較しても編集効率がさらに向上しましたが、最適な組み合わせを見つけるには広範な最適化が必要でした。
- その結果、17~20ヌクレオチド長のPBSに1ヌクレオチドの欠失を入れておくプライム編集手法であるSPELL(Streamlined Prime Editing with fixed-Length PBS Leverage)を用いることで、pegRNAの事前最適化を必要とせずに、ほとんどの場合においてほぼ最適な編集効率を達成できることが、
確認されました [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]
研究チームは、スペーサーとPBSのアニーリングの弱化、およびPBS欠失部位下流のPBS領域がSPELL pegRNAの活性にどのように寄与するかを調べるため、いくつかの追加実験を行い、その結果に基づいて、編集効率向上に関与すると想定される複数の分子機序を考察を加えています。
[出典]
- "Disrupting pegRNA intramolecular complementarity via PBS and spacer sequence alterations can enhance prime editing efficiency" Biczók Z [..] Ervin E. Nucleic Acids Res. 2026-04-21. https://doi.org/10.1093/nar/gkag292 [所属] HUN-REN Research Centre for Natural Sciences (Institute of Molecular Life Sciences; Institute of Biochemistry) (ハンガリー), Semmelweis University, Gene Design Kutató Fejlesztő Kft, Hun-Gén Technologies Kft, University of Szeged, ELTE Eötvös Loránd University
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