crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

- 中国医学科学院・北京協和医学院傘下医学実験動物研究所 (ILAS CAMS & PUMC)のShoulong Deng助教授を責任著者とするScientific Reports 誌刊行論文にて、ヒツジ(Ovis aries)の胚発生、細胞分化、組織再生における細胞運命を追跡する簡便な方法を紹介しています。この方法は、標的細胞に直接作用するCRISPR/Cas9ベースの系統バーコード記録法をベースにしています。

[詳細] 

 今回の細胞系譜再構成法では、複数の連続したCRISPR/Cas9ターゲティングアレイを合成し、PiggyBacトランスポゾンベクター(以下、PB)を用いて、40セット、ヒツジゲノムの複数の遺伝子座に導入し、バーコード領域を形成します [*1]。同時に、Cas9をRosa26遺伝子座に組み込んでおきます [*2]
[*]

  1. EF1α-td Tomato-intBC|white-B|bri1|bam3|white-L|ade2-pAと3種類のsgRNAs(mU6-ade2 sgRNA|hU6-bam3 sgRNA|bU6-white-B sgRNA);intBCは8 bpのランダムDNA配列からなるintegrated barcode
  2. 5'LA-CMV-Cas90T2A-EGFP-pA-3'RA

 これらの「記録装置」をヒツジ受精卵の前核にマイクロインジェクションすることで、40セットのPB断片がヒツジゲオムの多くの部位に挿入され、様々な臓器で発現し、バーコード領域の編集が進行することが、確認されました。

 この「記録」をシングルセル・シーケンシングで読み出すことで、ヒツジ胚発生の運命地図を観察することが可能となります。

 こうして、PiggyBacトランスポゾンとCRISPR/Cas9 GEツールを組み合わせることで、反芻動物の系統追跡技術の基盤を確立しました。

[出典]

  • "A method for CRISPR/Cas9-induced genetic barcoding and lineage tracing in sheep" Has D, Xu X [..] Deng S. Sci Rep. 2026-04-13. https://doi.org/10.1038/s41598-026-49093-y [所属] The Third Affiliated Hospital of Zhengzhou University, China Agricultural University, Fujian Agriculture and Forestry University, Xianghu Laboratory

[関連crisp_bio記事] Shoulong Dengが責任著者になっているレビュー紹介

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