(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/03/04)
- 【出典】Baruch, K. et al. "PD-1 immune checkpoint blockade reduces pathology and improves memory in mouse models of Alzheimer's disease." Nat. Med. 2016 Feb;22(2):135-7. Published online 2016 Jan 18.
- Weizmann Institute of ScienceのKuti BaruchとMichal Schwartzらは、アルツハイマー病(AD)モデルマウス(5XFAD)に、ヒトPD-1抗体を投与すると、ADの病態が改善することを見出した.
- ほとんどすべての神経変性疾患に慢性的神経炎症が共通している.そこで、抗炎症療法や免疫抑制療法が試みられてきたが、疾患モデルではある程度の効果を示すにとどまり、治験では効果が見られていない.また、研究チームは最近、免疫応答を抑制するのではなくむしろ、IFN-γに相関した全身の免疫応答をブーストすることで、血液由来のミエロイド細胞(単球由来マクロファージ)と制御性T細胞が中枢神経系の病態のサイトに集積し、Aβプラークを縮小させ、認識機能を回復することを、見出していた.今回は、がん免疫療法において、PD-1チェックポイントの阻害によってIFN-γに依存して免疫応答が活性化することに注目し、5XFADモデルマウスに対する抗PD-1抗体(clone RPM1-14; BIOXCELL)の投与実験を行った.
- 5XFADマウスに抗PD-1抗体を投与すると、想定通り、IFNγ依存で全身の免疫応答が誘導され、単球由来マクロファージが脳へとリクルートされ、ひいては、脳のAβプラークが減少し、認知機能が改善された.
- 抗PD-1抗体の効果を持続させるには、投与を継続する必要があったが、がんに続いて、ADの治療においても免疫チェックポイントが創薬標的になり得ることが示された.
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