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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 CRISPR-Cas9 GEの安全性の確保には、特に規制当局の審査を受けている治療用途においては、標的部位以外の変異誘発を包括的に評価することが不可欠です。DNAを含まない脂質ナノ粒子(LNP)送達は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターと比較して挿入リスクを最小限に抑えることが期待されますが、これまでの実験的検証は限られていました。CiRAとT-CiRAの研究者達は今回この課題に取り組んだ成果をMolecular Therapy Nucleic Acids 誌から報告しています。 [グラフィカルアブストラクト引用下図参照]
Comprehensive Assessment GA
  • ヒトDMDエクソン45のスプライシングアクセプターとドナーをそれぞれ標的とするデュアルgRNAとCas9をLNPとAAVで送達するマウス実験で、標的部位アンプリコンシーケンス解析から、望ましくないオンターゲット挿入はAAVによる送達の方が高いこと、挿入配列は主に宿主ゲノム配列由来であり、AAVやトランスジーンの組み込みは検出されないことが確認されました。
  • 14種類のin silico予測ツール [*]をベンチマーク評価した結果、Cas-OFFinderが最も感度が高いことが示されましたが、精度は低く、生化学的アッセイ法であるin vitro CIRCLE-seq [#]データとの相関も限定的でした。[*] Cas-OFFinder, CHOPCHOP, GT-Scan, CRISPRdirect, Off-Spotter, Cas-Designer, GuideScan;CRISPRseek, COSMID, Breaking-Cas, CRISPOR;CRISTA;CRISPRoff, uCRISPR
  • オフターゲット検出を強化するため独自に、核型が正常なヒトiPSCを用い、高深度全ゲノムシーケンス(in cellulo WGS)を介して隣接する複数のインデルを単一のクラスター部位として識別する方法である「インデルクラスター」法を開発し、ゲノム編集によって誘発されたクラスター状のインデルとバックグラウンド変異を区別できるようにしました。
 ここまでに紹介したインシリコ予測、CIRCLE-seq切断部位、および細胞内WGSクラスターを統合したところ、主に1つのgRNAに関連する11個の高信頼性オフターゲット候補が得られました。
 一方で、階層的なフレームワークによって、感度は最大化されましたが、条件間の再現性は限定的であり、多くの候補部位が反復配列領域またはマッピング可能性の低い領域と重複していました。
 今回、オフターゲットリスク評価の有用性と現在の限界の双方が示され、また、ゲノム編集療法の安全性評価のための実践的な基盤が整うに至りました。
[#] CIRCLE-seq関連crisp_bio記事
[出典] "Comprehensive Assessment of On- and Off-target Mutagenesis via Lipid Nanoparticle Delivery of CRISPR-Cas9 Genome Editing" Youichi Naoe (1,2), Naoko Fujimoto (1,2), Yukimasa Makita (2,3,4),  Dongyang Li (1,2),  Naoto Inukai (2,3), Akitsu Hotta (1,2).  Mol Ther Nucleic Acids 2026-05-20. https://doi.org/10.1016/j.omtn.2026.102958
  1. Department of Clinical Application, Center for iPS Cell Research and Application (CiRA), Kyoto University, Kyoto, Japan
  2. Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications (T-CiRA), Fujisawa, Kanagawa, Japan
  3. Target Validation Sciences, Takeda Pharmaceutical Company Limited, Fujisawa, Kanagawa, Japan
  4. Current affiliation: Axcelead Drug Discovery Partners, Inc., Fujisawa, Kanagawa, Japan.
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