crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 複数のゲノム座位を同時に改変することを可能にする多重ゲノム編集は、遺伝子ネットワークの理解や作物の複雑な形質のエンジニアリングに不可欠です。しかし、複数のターゲットにわたって高い編集効率を達成することは大きな課題です。
 この課題解決に向けて、浙江大学バイオテクノロジー研究所と中国農業科学院植物保護研究所の研究者達を主とする中国の研究チームは今回、モノマー型TREX2-SpCas9融合タンパク質と新規tRNAベースのgRNA処理要素アレイを組み合わせた、イネに最適化されたCRISPRシステムを構築・評価しました。
 TREX2-SpCas9融合タンパク質は、野生型SpCas9や他のエキソヌクレアーゼ融合タンパク質と比較して、編集性能を大幅に向上させ、より高い効率、より大きな欠失、および増加をもたらしました[#]
 また、38個のイネ内因性tRNA遺伝子を体系的に評価することにより、広く使用されているtRNAGlyおよびtRNAMetよりも優れた性能を示す13個の高性能候補(例:tRNALeu-1およびtRNAPro-1)を特定し、多重gRNAアレイの極めて効率的な処理を可能にしました。これらの高性能tRNAをシステムに組み込むことで、1株のイネにおいて最大29個のOsCPK 遺伝子を同時に編集することが可能になりました。
 この単子葉植物のイネ由来のtRNA要素を組み入れたマルチプレックス遺伝子編集システムは、一過性発現を介して双子葉植物のNicotiana benthamiana においても有効であることが確認され、その種間適用性が実証されました。
 こうして、植物の機能ゲノミクス研究を加速させ、複雑な農業形質を改善するための、堅牢で拡張性の高いプラットフォームが登場しました。
[#] TREX2-Cas9融合を利用したGE関連crisp_bio記事
[出典] "Optimized tRNA processing and TREX2-SpCas9 fusion enable high-efficiency multiplex genome editing in plants" Ziyan Xu (1,2) [..] Xueping Zhou (1,2), Huanbin Zhou (2,3,4) . Plant Commun. 2026-05-20. https://doi.org/10.1016/j.xplc.2026.101921
  1. State Key Laboratory of Rice Biology, Institute of Biotechnology, Zhejiang University, Hangzhou 310058, China
  2. State Key Laboratory for Biology of Plant Diseases and Insect Pests, Institute of Plant Protection, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Beijing 100193, China
  3. Scientific Observing and Experimental Station of Crop Pests in Guilin, Ministry of Agriculture and Rural Affairs, Guilin 541399, China
  4. Ministry of Agriculture and Rural Affairs Key Laboratory of Gene Editing Technologies (Hainan), National Nanfan Research Institute, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Sanya 572024, China
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