ソウギョ(草魚、Ctenopharyngodon idellus )は、世界中の淡水養殖魚の中で最も生産量が多く、経済的に重要な魚です。しかし、多数の小骨(肉間骨:intermuscular bones, IBs)が、食用としての安全性を損なうだけでなく、加工の妨げになっています。今回、華中農業大学のXia Gao教授が率いる研究チームが、IBの発生と骨化の過程を解明し、IB形成に関わる重要な制御遺伝子 runx2b を特定し、IBのない魚のための分子精密育種システムを確立したことを、Science China Life Sciences 誌刊行論文で紹介しています。
研究チームは、ソウギョのIBの発生特性を調査し、そのIBの複雑な形態と重要な骨化期を明らかにすると共に、CRISPR-Cas9 GEにより、IB発生の鍵となる遺伝子である runx2b を持たない品種の樹立に成功しました。
runx2b 変異を持つF0集団を導出し、雌雄の創始個体を交配してF1世代を作成し、その後、F1世代からIBを完全に欠く個体を選別し、IBを完全に欠くF2世代に至りました。
runx2b 変異を持つF0集団を導出し、雌雄の創始個体を交配してF1世代を作成し、その後、F1世代からIBを完全に欠く個体を選別し、IBを完全に欠くF2世代に至りました。
マイクロCTにより、runx2b 変異によって引き起こされるIBの喪失は、他の主要な骨格要素の形成やミネラル密度(P>0.05)や脂肪または筋肉量の割合(P>0.05)に影響を与えないことが確認されました。栄養面では、水分、粗タンパク質、粗脂肪、アミノ酸、脂肪酸、総糖類、コラーゲン、その他の栄養素に関して、IBのないrunx2b 変異体ソウギョとIBのある野生型ソウギョの間に有意差がなく、遊離アミノ酸組成と風味も同程度なことが、確認されました。
トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームデータの統合解析からは、IBフリーのソウギョには、全身の筋肉の分子リモデリングが起きたことが明らかになりました。カルシウムシグナル伝達経路と筋収縮経路の有意な変化に加え、速筋線維に関連する遺伝子の変化が認められ、IBフリーのソウギョでは速筋線維が増強されている可能性が示唆されました。これにより、魚は酸化代謝と収縮効率を高め、骨格支持の欠如を生理的に補償し、正常な運動能力を維持しているとみられます。
[出典]
- NEWS RELEASE "World's first intermuscular bone-free grass carp emerges" Science China Press. EurekAlert! 2026-05-26.https://www.eurekalert.org/news-releases/1129772
- 論文 "Creation of intermuscular bone-free genetic mutants in grass carp and multiomics reveals molecular regulatory basis" Jun-Qi Liu (1,2), Chun-Hong Nie (1,2) [..] Shi-Ming Wan (1,2), Ze-Xia Gao (1,2). Sci China Life Sci. 2026-05-19. https://doi.org/10.1007/s11427-025-3215-8
- College of Fisheries, Hubei Hongshan Laboratory, Key Lab of Freshwater Animal Breeding, Ministry of Agriculture and Rural Affairs; Key Lab of Agricultural Animal Genetics, Breeding and Reproduction of Ministry of Education; Engineering Research Center of Green Development for Conventional Aquatic Biological Industry in the Yangtze River Economic Belt, Ministry of Education; Engineering Technology Research Center for Fish Breeding and Culture in Hubei Province, Huazhong Agricultural University, Wuhan, 430070, China.
- Laboratory for Marine Biology and Biotechnology, Qingdao Marine Science and Technology Center, Qingdao, 266237, China.
- Key Laboratory of Microecological Resources and Utilization in Breeding Industry, Ministry of Agriculture and Rural Affairs, Guangdong Haid Group Co., Ltd., Guangzhou, 511400, China.
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