[背 景]
タイプI-E CRISPR-Casシステムは、CRISPR RNA(crRNA)誘導型Cascade複合体とCas3ヘリカーゼ-ヌクレアーゼ [Figure 1引用下図 A 参照] を用いて、外来核酸(DNA)に対するRNA誘導型干渉を誘導します。
この干渉プロセスで、宿主細胞は外来DNAの断片を獲得し、免疫記憶として機能することになるスペーサーとしてゲノム上のCRISPRアレイに挿入します。このスペーサーが後の外来DNAと照合されることで、免疫応答が進行します。
後の外来DNAの配列の一部とスペーサーの配列が完全に一致すると、Cascade-Cas3の干渉機能が完全に発揮され、外来DNA(ひいてはウイルスなど)が破壊されます。一方で、外来DNAの配列の一部と既存のスペーサーの間にミスマッチがあると(完全には一致しない場合)、干渉の効率は低下します。しかし、Cas3のいわゆるシュレッダー活性 [crisp_bio 2023-10-14] を介して、大量の新たなスペーサーを獲得するプライミングと呼ばれるプロセスが誘導されます。
このミスマッチによるプライミングが起こらない場合があります。プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に近接する数塩基のシード領域におけるミスマッチはプライミングに有害です。また、標的DNAにおけるTおよびAへの変異に起因するミスマッチはプライミング進行が許容されるものの、CおよびGへの置換に起因するミスマッチは、それぞれ干渉およびプライミングに特に有害であることが示唆されています。しかし、crRNAスペーサー配列が変異耐性に及ぼす影響は不明です。
[成 果]
アイオワ州立大学のDipali G Sashital教授らは今回、crRNAシード配列が変異耐性に及ぼす影響を系統的に検証しました。
可変スペーサー配列を持つ4つの大腸菌株を設計し、各株のプラスミドライブラリーに対してCRISPR干渉とプライミングを検証しました。先行研究と一致して、シード領域内の特定の位置におけるCまたはGへの変異がプライミングに対して極めて有害であることが観察されました。しかし、対応するcrRNA配列のコンテキストも欠陥のレベルに大きく影響し、rC–dCおよびrA/G–dGが、プラスミドライブラリー実験で最大の欠陥を引き起こしました。
[注] テキスト中の r と d はそれぞれRNAとDNAを意味します。
[注] テキスト中の r と d はそれぞれRNAとDNAを意味します。
In vitro生化学を用いて、シードの最初の位置のミスマッチタイプがCascadeのコンフォメーションに影響を与え、Cascade-ターゲット結合とCas3リクルートの両方の速度の低下をもたらすことが観察されました。
こうして、ターゲット変異のヌクレオチド同一性がタイプI–E CRISPR免疫の重要な決定要因ですが、crRNA配列もターゲット変異に対する免疫結果に大きく影響することが明らかになりました。
[出典] "Mismatch type impacts interference and priming activities in the type I–E CRISPR–Cas system" Phong T Phan (1), Meric Ozturk (1) [..] Dipali G Sashital (1)
J Biol Chem 2026-05-25. https://doi.org/10.1016/j.jbc.2026.111401
- Roy J. Carver Department of Biochemistry, Biophysics and Molecular Biology, Iowa State University, Ames, Iowa, USA.

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