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 中国農業科学院作物研究所を主とする研究チームが、ソルガム(Sorghum bicolor (L.) Moench)のアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子, SbALS, を精密に改変するアデニン塩基エディター(ABE)を確立し、外来遺伝子フリーで、農業形質に有意な差がなく、強い除草剤耐性を示す変異系統を樹立したことを、Journal of Integrative Plant Biology 誌刊行論文で紹介しています。
[詳細]
 ソルガムは、食料、飼料、バイオ燃料の生産に利用されている世界で5番目に重要な穀物作物です。一方で、雑草、特に野生イネ科植物との競合による大きな損失のため、収量を向上させることが困難な状況が続いています。この課題の解決に向けて、ソルガムの除草剤耐性を、自然変異やエチルメタンスルホン酸(EMS)による突然変異誘発などを利用して向上させる戦略が取られてきましたが、これらの手法はしばしば労力と時間を要し、また、栽培品種の遺伝的多様性によってその有効性が制限されていました。
 近年、CRISPR-Cas GE技術の中で塩基エディターを利用して、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などのモデル植物や、イネ(Oryza sativa)、トウモロコシ(Zea mays)、コムギ(Triticum aestivum)、ダイズ(Glycine max)などの作物に除草剤耐性を付与する事例が増えてきました。研究チームは今回、初めて、塩基エディターを介したソルガムへの除草剤耐性付与を実証しました。
 ALSは、分岐鎖アミノ酸生合成における重要な酵素であり、シロイヌナズナALSの保存されたトリプトファン574(W574)または他の種のALSの同等の位置での変異は、イネ、トウモロコシ、コムギ、シロイヌナズナを含むさまざまな種で、5つのクラスのALS阻害除草剤すべてに対する広範囲の耐性を付与することが知られています [Pan et alCrop J. 2025]。研究チームは、ソルガムに同様の除草剤耐性を導入するために、SbALS のW545残基を標的とする塩基編集を選択しました。具体的には、プロトプラストにおいて、コドンとプロモーターを最適化したABE8eを介して、SbALS の非コード鎖上のAをGへと変換し、編集効率11.6%で、TrpをArgへと置換(W545R)することに成功しました。
 このABE8eをアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens )を介した未熟胚法を用いて「P184」品種に導入したところ、217個の未熟胚から17個の再生植物が得られました。サンガーシーケンスにより、12個の再生植物が形質転換体を有しており、そのうち4個は編集された SbALS<W545R> アレルに関してヘテロ接合体であったことが確認され、目的の標的部位における編集効率は33.3%でした。オフターゲット編集は、予測された5つの部位では検出されませんでした。
 SbALS<W545R> / SbALS 植物の子孫を追跡することで、SbALS<W545R> ヘテロ接合体であるトランスジーンフリーのT1植物が得られました。SbALS<W545R> アレルをホモ接合体として持つ植物は検出されませんでした。
 除草剤のイマゼタピル(Imazethapyr)暴露実験から、SbALS<W545R> / SbALS 株の除草剤耐性が野生ソルガムから有意に向上したことが、確認されました。圃場条件下での比較実験においても、除草剤散布に対して、SbALS<W545R> SbALS 株は未処理の野生株と同様に生育することが、確認されました。また、成熟期には、草丈、茎径、分げつ数、穂長、穂重、千粒重などの農業形質において、SbALS<W545R> SbALS 株と野生株の間に有意差は見られませんでした。
 さらに、これらのSbALS<W545R> SbALS 株の除草剤耐性を圃場条件下で評価した。播種後1ヶ月、すべての株に200 mg/Lのイマゼタピル(4回散布)または水のみを散布した。処理後16日目には、イマゼタピル処理したWT株はすべて枯死したが、除草剤を散布したSbALS<W545R> SbALS 株は未処理のWT株と同様の生育を示しました。成熟期には、草丈、茎径、分げつ数、穂長、穂重、千粒重などの農業形質において、除草剤処理したSbALS<W545R> SbALS 株と未処理のWT株との間に有意差は認められませんでした。
 変異型ALSタンパク質の活性は、観察された除草剤耐性と一致して、5種類のALS阻害剤クラスの除草剤存在下において、野生型タンパク質よりも高いことも確認されました。

[出典] "Engineering herbicide-resistant sorghum with CRISPR/Cas9-mediated adenine base editing" Jianshuang Zhou (1,2), Ruirui Li (3) [..] Jinjie Zhu (1), Qian Qian (1), Baoqing Dun (1,2). J Integr Plant Biol. 2026-05-18. https://doi.org/10.1111/jipb.70298
  1. The State Key Laboratory of Crop Gene Resources and Breeding, Institute of Crop Sciences, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Beijing, 100081, China.
  2. Zhongyuan Research Center, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Xinxiang, 453000, China.
  3. State Key Laboratory of Crop Stress Adaptation and Improvement, School of Life Sciences, Henan University, Kaifeng, 475004, China.
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