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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

 タイプVI CRISPR-Casシステムは、プログラム可能なRNA編集に広く用いられていますが、その中でCas13bt3は極めてコンパクト (755 aa) *なことから、細胞への導入効率が高く、生体内遺伝子治療への応用も期待されています。[*] Cas13bファミリーのタンパク質のサイズは一般に1,000~1,400 aa の範囲です。
 しかしながら治療への展開は、その非特異的なRNA切断活性や、その機能の時空間的制御を可能にする低分子阻害剤の不足していることから、進んできませんでした。
 福州大学を主とする中国の研究チームは今回、Cas13bt3阻害剤の探索を目的として、17,760種類の化合物ライブラリーを対象とした蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づくRNA切断アッセイによるハイスループットスクリーニングを行いました。
 スクリーニングの結果、IC50値7.48 µMの特異的Cas13bt3阻害剤としてクロサンテルが同定されました。生化学的アッセイにより、クロサンテルはCas13bt3による標的RNA切断とコラテラルRNA切断の双方を阻害する一方、近縁のCas13オルソログであるCas13aに対してはほとんど阻害活性を示さないことが確認されました。
 分子ドッキングと電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を組み合わせた解析により、クロサンテルはcrRNAのダイレクト・リピート領域を収容するCas13bt3のキャビティーに結合し、crRNAとCas13bt3の結合を競合的に阻害することが明らかになりました。
 最後に、Cas13bt3の非特異的RNA切断を最小限に抑えるため、in vitroでコラテラル活性を低減しつつ、標的RNA切断活性を強力に維持するK748A変異体を設計しました。
 これらの知見は、Cas13bt3に対する選択的な低分子化学プローブと、標的精度が向上した最適化された変異体を提供し、精密なRNA編集アプリケーションにおけるCas13bt3の有用性を総合的に向上させるものです。

[出典] "Identification of Closantel as a small-molecule inhibitor of the compact CRISPR-Cas RNA editor Cas13bt3" Xulong Chen Binbin Zhan (1), Ruyi Shi (1), Jingxuan Chen  (1), Zhonghui Lin (1), Zuoan Li (2). Mol Divers. 2026-05-27. https://doi.org/10.1007/s11030-026-11610-6
  1. College of Chemistry, Fuzhou University, Fuzhou, 350108, China. 
  2. Department of Emergency, Fujian Provincial Key Laboratory of Emergency Medicine, Shengli Clinical Medical College of Fujian Medical University, Fujian Provincial Hospital, Fuzhou University Affiliated Provincial Hospital, Fuzhou, China. 
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