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 アルツハイマー病(AD)の病態は多因子性かつ動的であるため、その早期かつ正確な診断は依然として大きな課題となっています。アミロイドβ(Aβ)やリン酸化タウ(p-tau)といった血漿バイオマーカーは診断指標として有望視されていますが、従来の単一バイオマーカー検出法では、早期診断に必要な感度や特異性が不足しています。
 このような状況に対して今回、Haiming Luo博士(海南大学教授兼華中科技大学教授)を責任著者とする Advanced Science 誌刊行論文で、Aβ40、Aβ42、p-tau181、p-tau217、p-tau231、p-tau396/404を含む6つの主要なADバイオマーカーを同時に検出可能な、超高感度CRISPRベース多重タンパク質検出アレイ(Ultrasensitive CRISPR-based multi-protein detection array:UCMDA)が紹介されています。[FIGURE 1引用下図参照]
Machine Learning‐Enhanced Fig. 1
  • 血漿中の6種類のバイオマーカーを抗体ペア(各バイオマーカーに特異的でかつバーコードになる一本鎖DNA (ssDNA)を付された検出用抗体と、磁気ビーズに固定した捕捉抗体)で、高精度で捕捉・濃縮します。
  • 続いて、6種類のバイオマーカーのバーコードに当たる6種類のssDNAを同一チューブの中で一緒にRPAで増幅します(amplify together)
  • この「混合液」をあらかじめ然るべき設定がされていたマイクロアレーに流します。マクロアレーの各ウェルには、特定のバイオマーカーのバーコードに反応するCRISPR-Cas12aのガイドRNA(crRNA)を含むCas12aバイオセンサー用の反応液がセットされています。
  • こうして、マイクロアレイのグリッド上のどの位置のウェルが蛍光を発したかによって、6種類のバイオマーカーの存否を、蛍光の種類でなく、空間的に識別・判定することできます。
 このプラットフォームによる検出限界は1 fg/mLに達しました。この感度は従来のELISA法の1万倍に相当します。
 さらに、155検体の血漿サンプルを用いた臨床検証において、代表的な教師あり学習をする機械学習のアルゴリズムであるロジスティック回帰(LR)を用いてこれら6つのバイオマーカー重みを付けて統合することで、診断精度が著しく向上しました。
 また、この多重バイオマーカーモデルは、ADに伴う軽度認知障害(AD-MCI)およびADの診断において、単一バイオマーカーを用いる手法よりも大幅に優れた性能を示しました。
 UCMDAプラットフォームは、ADの早期発見および疾患モニタリングのための、拡張性・費用対効果に優れ、かつ低侵襲な手法を提供し、神経変性疾患の診断精度向上に向け、CRISPRベースの多重タンパク質検出技術と機械学習支援解析を組み合わせることの可能性を示しました。

[出典] "Machine Learning‐Enhanced Ultrasensitive Immuno‐CRISPR Array Facilitates Early Diagnosis of Alzheimer's Disease by Detecting Multiple Plasma Biomarkers" Liding Zhang (1) [..] Haiming Luo (1,2,7). Adv Sci 2026-06-09. https://doi.org/10.1002/advs.75983
  1. Key Laboratory of Biomedical Engineering of Hainan Province, School of Biomedical Engineering, Hainan University, Haikou, China.
  2. MOE Key Laboratory for Biomedical Photonics, Wuhan National Laboratory for Optoelectronics, Huazhong University of Science and Technology, Wuhan, China.
  3. Department of Clinical Laboratory, Renmin Hospital of Wuhan University, Wuhan, China.
  4. Institute of Basic and Clinical Medicine, The First People's Hospital of Yunnan, Kunming, China.
  5. Department of Neurology, the Affiliated Hospital of Jining Medical University, Jining, China.
  6. Department of Neurology, Xuanwu Hospital of Capital Medical University, Beijing, China.
  7. Corresponding author
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