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 中国科学院種子イノベーション研究所をはじめとする中国の研究所と大学にオランダの植物ホルモン研究者達が加わった研究チームが2025年に The Innovation 誌刊行論文で紹介した研究成果です。The Innovation はCell Press社が出版しているオープンアクセスジャーナルです。
 ストライガを代表とするハマウツボ科(Orobanchaceae family)の寄生雑草は多大な経済的損失をもたらし、世界の農業にとって重大な脅威となっています。しかし、こうした寄生雑草の管理は難しく、また、クローニングされて詳細に解析された寄生雑草抵抗性遺伝子はわずかです。研究チームは今回、トマト152系統を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を行なって、根からの分泌物中のストリゴラクトン(Strigolactones:SL)濃度に影響を与えることで、宿主植物のエジプトハマウツボ(Phelipanche aegyptiaca )に対する抵抗性を媒介する重要な遺伝子として SlABCG45 を同定しました。SLは宿主植物によって合成・放出され、寄生雑草の発芽促進剤として機能することが古くから知られていたホルモンです。また、葉緑素を持たないハマウツボはSLを感知した時にのみ発芽するとされていました。
 研究チームは今回、SlABCG45 とその近縁ホモログである SlABCG44 は膜局在型のSL輸送体であり、SLの根圏への分泌、Phelipanche および Orobanche に対する抵抗性、そして根から地上部へのSLの上方輸送において重要な役割を担っていることを突き止めました。
 CRISPR-Cas9 GEを利用して SlABCG45 をノックアウトすると、土壌中に放出されるSLの量が劇的に減少し、ひいては、近くのハマウツボの種子は発芽しなくなりました。
 研究チームは実証実験として、CRISPR-Cas9 GEを利用してSlABCG45 遺伝子をノックアウトしたトマトの成長を圃場で二年間観察しました。ハマウツボのない圃場では構造にも収量にもほとんど影響が見られました。ハマウツボ科の様々なフェリパンケ属(Phelipanche )とオロバンケ属(Orobanche )の植物が蔓延する圃場では、寄生植物に対する抵抗性が発揮され、ゲノム編集を加えなかった品種に対して収量が約30%増加しました。
 今回のアプローチの特徴は、ストリゴラクトンの生合成経路を完全に遮断せずに、SLの根圏への輸送だけを遮断したところにあります。これによって、SLの植物の成長形態を制御する植物ホルモンとしての機能を損なうことなく果実収量を維持しつつハマウツボを寄せつけないトマト系統が得られました
 今回、寄生を悪化させる主要な環境刺激因子であるリン欠乏が、転写因子SlNSP1およびSlNSP2を介して SlABCG45 の発現を劇的に誘導し、SlABCG44 の発現もレベルは低いですが誘導することも明らかになりました。これにより、栄養分が不足している圃場で、寄生生物による被害が深刻になる理由も見えてきました。
 こうして、ゲノム編集によって単一の遺伝子を標的とすることで、トマトに広範囲の寄生雑草に対する抵抗性を付与できることが示され、農業における寄生植物の持続可能な防除のための効果的な戦略となる可能性を示唆しています。

[出典] "Manipulation of a strigolactone transporter in tomato confers resistance to the parasitic weed broomrape" Xinwei Ban (1,2) [..] Xia Cui (3,11,12), Jiayang Li (1,6,12), Bing Wang (1,2,12). Innovation 2025-01-29/03-03. https://doi.org/10.1016/j.xinn.2025.100815
  1. State Key Laboratory of Seed Innovation and National Center for Plant Gene Research (Beijing), Institute of Genetics and Developmental Biology, Innovation Academy for Seed Design, Chinese Academy of Sciences, Beijing 100101, China
  2. College of Advanced Agricultural Sciences, University of Chinese Academy of Sciences, Beijing 100049, China
  3. State Key Laboratory of Vegetable Biobreeding, Sino-Dutch Joint Laboratory of Horticultural Genomics, Institute of Vegetables and Flowers, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Beijing 100081, China
  4. Beijing Key Laboratory of Growth and Developmental Regulation for Protected Vegetable Crops, College of Horticulture, China Agricultural University, Beijing 100081, China
  5. Plant Hormone Biology Group, Swammerdam Institute for Life Sciences, University of Amsterdam, Amsterdam 1098 XH, the Netherlands
  6. Yazhouwan National Laboratory, Sanya 572024, China
  7. Key Laboratory of Genome Research and Genetic Improvement of Xinjiang Characteristic Fruits and Vegetables, Institute of Horticultural Crops, Xinjiang Academy of Agricultural Sciences, Urumqi 830000, China
  8. College of Life Science and Technology, Xinjiang University, Urumqi 830000, China
  9. National Key Laboratory of Tropical Crop Breeding, Shenzhen Branch, Guangdong Laboratory of Lingnan Modern Agriculture, Genome Analysis Laboratory of the Ministry of Agriculture and Rural Affairs, Agricultural Genomics Institute at Shenzhen, Chinese Academy of Agricultural Sciences, Shenzhen 518120, China
  10. National Key Laboratory of Tropical Crop Breeding, Chinese Academy of Tropical Agricultural Sciences, Haikou 571101, China
  11. Key Laboratory of Quality and Safety Control for Subtropical Fruit and Vegetable, Ministry of Agriculture and Rural Affairs, College of Horticulture Science, Zhejiang A&F University, Hangzhou 311300, China
  12. Co-corresponding authors
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