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 ドナーとレシピエント間におけるHLAハプロタイプの不一致は、免疫拒絶による移植不全のリスクを著しく増大させます。現在、HLAクラスI(HLA-I)の細胞表面発現を消失させ、同種移植製品をT細胞による拒絶から保護する手法としては、β2ミクログロブリン(B2M)のノックアウト(KO)が標準的です。しかし、HLA-Iを完全に消失させると、ナチュラルキラー(NK)細胞による「ミッシング・セルフ(missing-self)」応答が誘発されたり、重要な免疫調節相互作用が阻害されたりするリスクが顕在化します。
 そうした課題に対処するため、ライデン大学医療センター化学・細胞免疫学部門のArnaud Zaldumbide准教授 (Cure One 兼任) が率いる同大学の研究チームは今回、CRISPR-Cas9 GEを利用してヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)株のAAVS1セーフハーバー領域に、サイトメガロウイルス由来のUS2をコードする配列を導入しました。
 フローサイトメトリー解析の結果、US2は、細胞内のHLAクラス分子のうち、特に強い拒絶反応を示すHLA-A2を選択的に分解し、その細胞表面発現を消失させる一方で、HLA-I全体の低レベルな発現は維持することが確認されました。
 共培養アッセイでは、US2の発現により、HLA-A2に反応する同種反応性T細胞の活性化を抑制しつつ、NK細胞の「ミッシング・セルフ応答」のスイッチである脱顆粒増大を招くことなく、抑制性シグナル伝達が維持されていることが示唆されました。
 US2のノックインは、B2Mのノックアウト処理よりもはるかにシンプルな処理(1回の編集)であり、オフ・ザシェルフの細胞治療薬や再生医薬製品を、より安全かつ低コストで提供可能にするアプローチだと考えられます。

[出典] "CRISPR-Cas9-mediated knock-in of cytomegalovirus US2 provides an alternative strategy for generating hypoimmunogenic hiPSC lines" Juan J Novoa (1,2,3,6) , Lonneke H Gaykema (1,4,6)  [..] Arnaud Zaldumbide (2,5,7) [+8]. Sci Rep 2026-06-23. https://doi.org/10.1038/s41598-026-58651-3
  1. Department of Internal Medicine, Leiden University Medical Center, the Netherlands;
  2. Department of Cell and Chemical Biology, Leiden University Medical Center, theNetherlands;
  3. Department of Anatomy and Embryology, Leiden University Medical Center, theNetherlands
  4. The Novo Nordisk Foundation Center for Stem Cell Medicine (reNEW), LeidenUniversity Medical Center, The Netherlands
  5. Cure One, Type 1 Diabetes Research Center, Leiden, the Netherlands.
  6. These authors contributed equally
  7. Corresponding author
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