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 腫瘍細胞は、サイトカイン介在性の炎症(抗腫瘍免疫によって惹起され、疫チェックポイント阻害(ICB)によって増強される)を含め、過酷な環境下での増殖を促進する環境ストレスに応答し、適応します。しかし、サイトカインへの応答は、転写や細胞状態の変化も誘発し、それによって腫瘍細胞に新たな脆弱性が生じる可能性がありますが、こうした点についてはまだ十分に解明されていません。
 今回、ブロード研究所/マサチューセッツ総合病院/ハーバード大学医学大学院に籍を置く研究者達(30名のうち一人だけブロード研究所専任))は、炎症によって腫瘍に誘発される遺伝的脆弱性を網羅的に特定するため、インターフェロン-γ(IFNγ)、インターフェロン-β、または腫瘍壊死因子(TNF)に曝露した8種類のがんモデルを用い、in vitroでのゲノムスケールCRISPR-Cas9 LOF(機能喪失)スクリーニングを実施しました。
 その結果、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)トランスアミダーゼ複合体の構成因子および脂質ホスファターゼFITM2が、インターフェロン特異的ながんの依存性因子であることを特定しました。また、in vivoにおいて、GPIトランスアミダーゼのサブユニットやFITM2を腫瘍特異的に欠失させると、ICBに対する応答が著しく増強されることを確認しました。
 機能ゲノミクス、メタボロミクス、および下流のストレス経路に対する薬理学的介入を統合して解析したところ、FITM2の欠失により、がん細胞はIFNγに起因する小胞体ストレスや酸化ストレスに対して脆弱になり、最終的にパラプトーシス様細胞死 [*] に至ることが明らかになりました。
 こうして、GPIトランスアミダーゼ複合体とFITM2を同時に標的とすることで、ストレス下にあるがん細胞に条件付き合成致死の脆弱性が生じることが、示されました
[*] プログラムされた細胞死(programmed cell death:PCD)は、かつては、カスパーゼ依存性のアポトーシス(apoptosis)と受動的な死であるネクローシス(necrosis)に分類されていましたが、近年、ネクロトーシス(necroptosis)、オートファジー細胞死(autophagic cell death)、パラトーシス(paraptosis)など多様な PCD 様式が明らかになってきており、ひいては、それぞれの経路を標的とするがん療法が追究されるようになってきました。 ["Paraptosis: a non-classical paradigm of cell death for cancer therapy" Xu, Cc., Lin, Yf., Huang, My. et al., Acta Pharmacol Sin 2024 ]

[出典] "Inflammatory cytokines induce new cancer dependencies" Collins K. Cheruiyot (1,2,3,4) [..] Kathleen B. Yates (1,2,4,8), Robert T. Manguso (1,2,4,8) [+27]. Nat Genet. 2026-06-09. https://doi.org/10.1038/s41588-026-02614-x
  1. Broad Institute of MIT and Harvard, Cambridge, MA, USA. 
  2. Krantz Family Center for Cancer Research, Massachusetts General Hospital, Boston, MA, USA.
  3. Division of Medical Sciences, Harvard Medical School, Boston, MA, USA. 
  4. Department of Medicine, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, USA. 
  5. Solid Tumors Program, Division of Oncology, Center for Applied Medical Research (CIMA), University of Navarra, Pamplona,Spain. 
  6. Center for Regenerative Medicine, Massachusetts General Hospital, Boston, MA, USA.
  7. Division of Gastroenterology, Department of Medicine, University of Massachusetts Chan Medical School, Worcester, MA, USA. 
  8. These authors jointly supervised this work
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