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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

デンマークのオーフス大学Jacob Giehm Mikkelsen教授が率いるGiehm Lab は、「疾患の分子メカニズムの解明を目指しつつ、ゲノム編集に必要なツールを標的細胞へ送達する新たな手法の研究に取り組んでいます。具体的には、CRISPRを用いたゲノムワイド・スクリーニング技術を確立しており、がんの薬剤耐性や、がんおよび自然免疫における遺伝子制御の解析に、フォワード・ジェネティクス(順遺伝学)的スクリーニング手法を応用」しています。

2021年には、プライム・エディター(PE)を、piggyBac DNAトランスポゾンを利用して送達することで、細胞株において、PEとしては画期的な最大100%という高い編集効率を実現しました [#]。Mikkelsen研究チームは今回、CRISPRスクリーニング技術を介して「疾患の分子メカニズム」の一端を明らかにしたことを、Science Signaling 誌から紹介しています。

I型インターフェロン(IFN)の功罪
IFNは、外来病原体や悪性化から生体を守るために自然免疫系のパターン認識受容体(PRR)によって誘導されますが、その応答が過剰になるとインターフェロノパシー(I型IFNの制御不全を伴う疾患)を引き起こすことから、通常、IFNの産生は厳密に制御されています。

ゲノムワイドCRISPRスクリーニングの工夫
  • 研究チームは、IFN制御を司る遺伝子ネットワークを明らかにするため、ゲノムワイドなCRISPRスクリーニングを実施し、PRRであるcGASとその下流エフェクターであるSTINGによって誘導されるIFNB1(インターフェロンβ1)遺伝子の発現を正または負に制御する遺伝子を探索しました。
  • 未刺激のヒト単球系のTHP-1細胞と共に、進行中の炎症応答を模倣する目的で、IFN-αでプライミングした細胞も対象としました。
ゲノムワイドCRISPRスクリーニングから得られた知見
  • 未刺激状態とプライミング状態では、IFNB1誘導に影響を及ぼす遺伝子群が異なっていました。
  • また、その多くがこれまでIFN応答に関連することが知られていなかった新たな制御因子でした。
  • こうして、IFNB1制御と様々な細胞内経路との関連が明らかになりました。
スクリーニングのトップヒットの詳細解析例
  • トップヒットの中から、NCoR/SMRTコプレッサー複合体の構成因子であるTBL1XR1とHDAC3が協調してIFNB1 発現を支えていることが明らかになりました。
  • またHDAC3がI型IFN応答の必須の駆動因子であるキナーゼTBK1(TANK-binding kinase 1)の活性化を促進していることが明らかになりました。
cGAS-STING-I型IFN応答の包括的な遺伝子制御マップは ...
I型IFN関連の先天性免疫異常症やがんに関与する遺伝子を特定し、インターフェロノパシーやその他のI型IFN制御不全状態においてSTINGシグナル伝達を調節する治療法を開発するための情報資源になります。

[#] Giehm Labからのプライム編集(PE)関連論文
"piggyPrime: High-Efficacy Prime Editing in Human Cells Using piggyBac-Based DNA Transposition" Jonas Holst Wolff, Jakob Haldrup, Emil Aagaard Thomsen Sofie Andersen, Jacob Giehm Mikkelsen. Front Genome Ed., 2021-11-12. https://doi.org/10.3389/fgeed.2021.786893
プライム編集は、多様かつ精密なゲノム改変を可能にしましたが、効率が低いことが課題になっています。研究チームは、piggyBac DNAトランスポゾンを利用した単一ベクターシステム「piggyPrime」を開発し、ヒト細胞においてプライム編集に必要なすべての構成要素をゲノムに組み込むことを可能にし、細胞株において最大100%という高い編集効率で、簡便かつ効果的な遺伝子導入・改変を実現しました。[FIGURE 1引用下図参照]
piggyPE

出 典
 "A genome-wide map of the genetic network in monocytes that regulates type I interferon induction by the cGAS-STING pathway" Emil Aagaard Thomsen (1,2), Jian Zhao (1,2), Ryo Narita (1,2), Luther J Davis (1,2),  David Olagnier (1,2), Søren R Paludan (1,2), Jacob Giehm Mikkelsen (1,2,3). Sci Signal. 2026-08-18. https://doi.org/10.1126/scisignal.adx3808
  1. Department of Biomedicine, Aarhus University, Aarhus, Denmark.
  2. Center for Immunology of Viral Infections, Aarhus University, Aarhus, Denmark.
  3. Corresponding author
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