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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

Pairwise社は、独自のゲノム編集プラットフォームFulcrum™[*] のライセンス契約が過去12〜18ヶ月で急増し、ライセンス取得者が25社・30種以上の生物種に拡大したと発表しました。

Fulcrum™プラットフォームは、遺伝子編集ツール、形質ライブラリ、同社独自のCRISPR系のSHARC™などの独自酵素を統合したプラットフォームで、利用ライセンスが提供されています。Fulcrum™では、従来のように複数の特許保持者から個別に許諾を得る必要がなく、一括して定額のロイヤリティで一連のツール群(ヌクレアーゼ/削除、塩基編集およびRNA/DNAのテンプレートを介した置換)が提供されます。

Pairwise社は2017年、農業バイオテクノロジーのベテランであるTom Adams博士とHaven Baker博士、そしてCRISPRの先駆者であり科学的創業者でもあるFeng Zhang博士、David R. Liu博士、J. Keith Joung博士によって設立されました。同社は、背丈の低いトウモロコシから、アジアさび病への感受性を低減した大豆に至るまで、大規模栽培作物に関してバイエル(Bayer)やコルテバ(Corteva)といった業界の有力企業と注目すべき共同開発を行ってきました。

Fulcrum™ の広がり
同社のFulcrum™ プラットフォームは今や、キャッサバやカカオから、昆虫、野菜、観賞用植物、農業用生物農薬(アグロ・バイオロジカル)に使われる微生物、家畜に至るまで、多岐にわたる分野に取り組む企業、研究者、非営利団体から関心を集めています。

例えば、Agragene社 は害虫防除を目的とした不妊昆虫の開発に「Fulcrum」を利用しており、Genus社は動物の遺伝学分野に取り組んでいます。また、オーストラリアの国立科学機関であるCSIROは、家畜、水産養殖、微生物、植物を対象としたライセンスを取得しています。

その他のライセンス供与先には、野菜種子会社のEnza Zaden社や観賞用植物の有力企業であるBall社などが名を連ねており、Mars社もカカオへの技術利用についてライセンス契約を結んでいます。さらにPairwise社は、国際熱帯農業研究所(IITA)と協力してヤムイモの改良に取り組んでいるほか、キャッサバ、ササゲ、イネといった他の主要作物についても技術ライセンスを供与しています。

多年生作物・高付加価値作物への展開
Fulcrum™ プラットフォームにより、育種周期の長い果樹や多年草において、世代交配の時間を劇的に短縮できます。Plant Sciences Genetics社と共に商業化を進めているブラックベリーはその好例です。遺伝的に複雑な構造を持つ多年生作物であるため、従来の育種法による品種改良は時間がかかり、困難を伴うものでした。Pairwise社はゲノム編集技術を活用し、よりコンパクトな樹形(草姿)を持つ品種を開発することで、単位面積あたりの植栽密度を3倍に高めると同時に、種がなく、棘(とげ)のない果実を実現しました。Pairwise社はSun World International社とも提携し、種なしサクランボの開発に取り組んでいるとのことです。

フライホイール効果
Pairwise社は、ある作物で得られた遺伝子ネットワークの知見(例:矮性化・コンパクト化)を他の作物に応用することで、新規プロジェクトの成功率を高める好循環を生み出しています。その一例として、Pairwise社とIITAによるヤムイモの取り組みが挙げられます。両者は、よりコンパクトな草姿の実現を目指して研究を進めています。これは、他の作物における矮性化やコンパクト化に関するPairwise社の広範な知見を活用するものであり、こうした取り組みが「フライホイール効果」を生み出し、特に、グローバル・サウス(発展途上国)に影響を与えるような作物については有効だとみられています。

規制緩和による追い風
ゲノム編集作物は、外来遺伝子を挿入するGMO(遺伝子組み換え)とは異なり、生物が本来持つ遺伝子を改変するものであり、従来の育種と同等であるという理解が広まりつつあります。そのため、多くの市場で規制手続きが簡素化される傾向にあります。EUでもつい最近規制を緩和する新法が発表されました [crisp_bio 2026-08-06 参照]
出 典
"Pairwise sees ‘dramatic uptick’ in CRISPR licensing as gene editing moves beyond row crops" Elaine Watson. AgFunderNews 2026-08-16. https://agfundernews.com/pairwise-sees-dramatic-uptick-in-crispr-licensing-as-gene-editing-moves-beyond-row-crops
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